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二宮和也主演『ブラックペアン』の外科医像はリアリティある?高須院長に聞く

 嵐の二宮和也が天才外科医を演じるTBS日曜劇場『ブラックペアン』(日曜、夜9:00)。視聴率12~13%台と好調をキープしています。

 嫉妬がうずまく大学病院を舞台に、個性的な外科医たちが登場します。傲慢で出世に興味のない天才外科医に二宮和也、ゴッドハンドと呼ばれる教授に内野聖陽、最新医療機器を導入しようとするエリート外科医に小泉孝太郎…。


 このドラマでは、カトパンこと加藤綾子が演じる「治験コーディネーター」の描き方が「ありえない」と抗議を受けました。では、外科医のキャラクターはリアリティあるのでしょうか?

 そこで、整形外科医を経て美容外科医になった高須クリニック・高須克弥院長に、現実はどうなのか聞きました。

「ゴッドハンド」はホントにいる?


――『ブラックペアン』で内野聖陽が演じる教授は「神の手」を持つ心臓外科医です。現実にも、よく「ゴッドハンド」と呼ばれる外科医がいますが、本当にゴッドハンドはいるのでしょうか?

高須:いっぱいいますよ。誰もやったとことがない手術を最初にやった人は、みんなゴッドハンド

人体のなかで手術できないと思われているところを「ノーマンズランド」(無人地帯)っていうんだけど、そこを手術をした人は「神の領域に手を入れた」ってことでゴッドハンドと呼ばれる。心臓外科とか脳外科には多いね。

で、それが成功してみんながやり始めたら、もうゴッドハンドじゃなくなるけど。

――最初にやるということは失敗もありえるわけですよね。じゃあ、ドラマで二宮和也が言い放ったように「手術はバクチ」?

高須:そう、バクチだよ。バクチは外れることもある。

1993年にアナウンサーの逸見政孝さんの手術をした羽生富士夫教授(東京女子医大消化器外科)も、ゴッドハンドと呼ばれてた。逸見さんは進行中のスキルス胃がんで、手術したって命縮めるだけと言われてたけど、ゴッドハンドに賭けて手術をしたわけ。でも、3ケ月で亡くなっちゃった。

あと、50年前に日本で初めて心臓移植手術をした和田寿郎という外科医(札幌医科大学)も、患者が亡くなっちゃった上に、心臓を取り出したドナーも脳死してなかったんじゃないかという話が出て、殺人罪で告訴されてしまった(不起訴)。あの事件で心臓移植が20年遅れたね。

――かくいう高須院長も美容外科界のゴッドハンドなんですか?

高須:もちろんそうだよ。だって、脂肪吸引だって脂肪注入だって、誰もやってないことをやったんだもん。

――初めての領域で手術するときってどんな気持ちですか?怖くないですか?

高須:ワクワクするね

ライバルたちに、「高須くん、先頭走ってください。うまくいったら、僕たちが後ろに道路つくりますから」と言われてさ。

高須院長

フリーメイソン子供祭りなう

小泉孝太郎に見る「外科医あるある」


――『ブラックペアン』で小泉孝太郎が演じるエリート医師は、華麗なる学歴で良い論文も書くのですが、いざ手術になると手がぷるぷる震えてできなかったりする。こんな医者、いるんでしょうか?

高須:そういう外科医、いるいる! 論文をたくさん書く医者って、たいていぶきっちょなの。iPS細胞の山中伸弥さんもそうでしょ。彼は最初、整形外科医だったんだけど、手術がヘタで「ジャマ中先生」って呼ばれてたんです。それで研究のほうに進んだら、ノーベル賞を取った。

人間って、いくつも能力を持てないんだよ。

――なるほど。ドラマの二宮和也はその真逆で、手術がヘタな医者を軽蔑しています。外科医は、二宮みたいに傲慢で性格悪いキャラに描かれることが多いですが、そうなんですか?

高須:そうね、外科医って職人だから。営業しないから。寿司屋だって、優しくてへたな職人より、態度悪くてもうまい職人のほうがいいでしょ?

医学でムントテラピーって言葉があるんです。ムントは「口」ね、ムントテラピーは言葉で癒すという意味。外科医のあいだでは、口ばっかりで手術がヘタな医者を、「ムンテラ医者、ムンテラ医者」ってバカにするんですよ。

――最後に伺いますが、美容外科の世界で高須院長をおびやかすようなゴッドハンドはいないんですか?

高須:いないね。だって若い医者は、安全パイのことしかやらないんだもん。失敗するのが怖いから、誰かがやって成功したことしかしない。

だから、医療器のメーカーは新しい機械をまず僕のところに持ってくるの。いいと思ったら、僕はまず自分で試すわけよ。で、メーカーは「高須先生がいいと言った」って他の医者に営業するんだよ。

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 というわけで、『ブラックペアン』のようにクセ者が多いのが外科医の世界のよう。高須院長の強烈キャラも、外科医らしいと言えるでしょうか。

<TEXT/女子SPA!編集部>

【高須克弥氏・プロフィール】
1945年生まれ、医学博士。高須クリニック院長で美容外科の第一人者。最新の美容技術を、自ら試して普及することでも有名。近著は『ダーリンは71歳 高須帝国より愛をこめて』、『炎上上等』(扶桑社新書)

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