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不妊治療、ホントに必要?焦って始める前に知っておくべきこと

 日本においてもキャリアを積む女性が増え、ライフスタイルが変わってきました。結婚してそろそろ子どもを持とうと思い始めた時は既に遅く、なかなか授からない状態が続き、そのような状況に陥って、慌てて不妊クリニックに駆け込んで治療を始めるというカップルが増えています。

不妊治療 不妊治療を行っている多くの医療施設では、「リスクが増えるわけではない」と説明するため、何の疑問も持たずに治療を始めてしまう夫婦も少なくないようです。そのため、治療の必要のない夫婦でさえも不妊治療を行うようになり、こういった夫婦が成功率を上げ、医療施設の宣伝に繋がっている可能性も否定できません。

 まさに、最先端の技術による「夢の治療」のようなイメージが助長されて、不妊治療が急速に広まっていったのです。

 そこで誰にも聞けない、教えてくれない「妊活」に関する素朴な疑問を『本当は怖い不妊治療』(SB新書)の監修者でもある産婦人科医で、臨床精子学研究の第一人者でもある黒田優佳子先生に取材しました。 第1回目の「卵子の老化は防げる?男性不妊って何?」に続いて、第2回目は「不妊治療の方法」です。

黒田先生

不妊治療って何するの?3つの種類


Q:前回、「不妊症とは、妊娠を希望する生殖年齢にある夫婦が避妊せずに、1年間性行為を試みても妊娠しない場合を言い、専門施設における検査と治療が推奨される症状」と言われていましたが、不妊治療の種類にはどのようなものがありますか?

黒田先生(以下、敬称略):一般に、不妊治療に用いられる技術を生殖補助医療技術(以下、ARTと略す)と言いますが、ARTには主に下記の3つの方法があります。

(1) 人工授精:精子を子宮内に送り込むだけの方法。
(2) 体外受精:体外に取り出した卵子に精子が自力で侵入して受精する環境を整える方法。
(3) 顕微授精:体外に取り出した卵子に極細のガラス針で人為的に精子1匹を穿刺(せんし)して授精させる方法。

 日本で体外受精が行われるようになって約40年、また、顕微授精が実施されて約26年たった今、不妊症は夫婦5組に1組と言われるほどに増加しています。

 不妊治療をしているカップルは年間約50万人、ARTによる出生数は年間約5万人、これは約20人に1人がARTで生まれていることになります。世界規模で考えれば、ART出生児数は数百万人以上になるのです。

 そのため、ARTは少子化問題を抱える日本の将来を考える上で不可欠な医療になっているのです。

顕微鏡

必要ない治療を勧めるクリニックも


Q:多くの人が不妊治療を受けていますが、何歳ぐらいから始めたら良いのでしょうか。

黒田:若いうちは仕事に集中し過ぎて、ご自身の体のことや妊娠についてなかなか気が回らない方が少なくないようです。

 やはり、年齢に関係なく、妊娠を希望する生殖年齢にある夫婦が避妊せずに1年間性行為を試みても妊娠しない場合は、専門医を受診した方が良いのでないでしょうか。

 お子さんを持ちたいと思ったときには既にご夫婦ともに30代後半や40代で、慌てて不妊クリニックに駆け込み、不本意な治療を開始してしまうというケースも多いですから。

Q:“不本意な治療を開始する”とはどのような治療でしょうか?

黒田:通常、不妊治療は排卵日を推定できる専門家の元を訪ねて、タイミング指導を受ける「タイミング療法」から始まり、先ほど申し上げたARTと称する「人工授精」「体外受精」「顕微授精」という順番で進めていきます。体外受精や顕微授精といった高度な治療に進めば進むほど金額も高くなり、精神的・身体的な負担も重くなります。

 それにもかかわらず、タイミング療法や人工授精で妊娠できる可能性がある場合でも、不妊クリニックによっては、体外受精や顕微授精を薦められることも多いと聞いています。

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クリニックの「妊娠率」は意味がない

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