いよいよスタジアムに到着です。席は日本側ゴールの裏側。前から6列目。
ゴール裏の席
日本側といっても観客の7割くらいがコロンビア人なので(日本人が2割、それ以外が1割といったところ)、日本のゴール裏にもコロンビア人がいっぱい。
日本人サポーターが固まって立って応援しているエリアにも移動可能でしたが、子連れなので座って応援することにしました。4大会めの観戦ということもあり、周りには見知った顔もチラホラ。日本でもよく会うW杯友達のほか、4年ぶりに会う人、というかW杯でしか会わない人もたくさんいます。
みんな4年前の屈辱を胸に、そして雪辱を晴らすためにここに集っているのです。
そんな私たちの熱い思いを受けて、我らが日本代表がやってくれました…! みんな泣いていました。私も泣きました。
2010年南アフリカ大会のデンマーク戦以来、8年ぶりの、待ち望んでいた勝利です。何より、大会前は酷評されていた代表が、戦う姿勢を見せてくれたことがうれしかった。
実力が上のチーム相手に一歩もひるまず、闘志をむき出しにして戦う。私の見たかった代表の姿がそこにありました。
同点に追いつかれた後、ゴール裏はコロンビアサポの大合唱が続いていました。日本のサポーターも必死で声を出し続けるものの、圧倒的な数と声量にかき消されてしまう。
JMPA代表撮影
そんな状況を一変させたのは大迫選手のゴール。コロンビアサポは一瞬で静まり返り、さっきまでの「もう試合はもらった」といわんばかりの余裕の表情は消え去りました。
代わりに生まれたのは焦りと悲痛の叫び。
「まさか、格下の日本に俺たちが負けるのか…?」観客席に新しい雰囲気が生まれ始めます。
そんなスタジアムの一角で、座席の下に潜り込んでいた次男。ふと、嗅ぎ慣れた臭気が私の鼻を襲いました。
「まさか、こんなときに…」
いやな予感が頭をよぎった瞬間、「
ママー、うんちした!」と笑顔で伝えてくる2歳児。半端ない。
いや、このタイミングでする?
1日24時間あるのに、なんなら旅行中でやや便秘気味なのに、よりによって今する?
こんな展開の中トイレに行けるはずもありません。「ちょっと待って! すぐ替えてあげるから!」といって放置する鬼母。
旅行までにオムツ外そうとがんばってたけど、トイレトレ―ニング失敗してオムツでしてくれてよかったー! と心の中で叫んだ歴史的勝利の瞬間なのでした。
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子連れサポーターのW杯観戦記 vol.3―
ロシアに出発するおざきゆかさんと、子どもたち
<文/おざきゆか>
【おざきゆか】
女性誌を中心に活躍する編集・ライター。家族はラテン系の夫と2歳・5歳男児。今回のロシアW杯で、4大会めの現地観戦(ブラジル大会は1歳の子連れで)。大学時代にサッカー経験あり
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@yukamorocha