今回送られてきたのは、輪島朝市通りの「つかもと」という店のえがらまんじゅうだ。
つかもとでは、出来たてのえがらまんじゅうが1個から売られており、その場で食べることもできる。
えがらまんじゅう自体は通販でお取り寄せもできるが、こればかりは現地にいかないと食べられない。もし輪島に行くと言う人がいたら「それなら、つかもとのえがらまんじゅうを食べた方がいいよ、朝生でね?」と行ったこともないのにアドバイスしてしまうと思う。

輪島市観光協会サイトより http://wajimanavi.lg.jp/www/topics/gourmet-meguri/bura/tsukamoto/
ちなみにこのえがらまんじゅうは、オーブンで焼いて食べることもおすすめされている。確かに焼くことにより、周りのもち米がさらに香ばしくなり間違いなく美味いだろう。
そこであることに気付いた。「揚げたら美味いのでは」と。
もちろん、つかもとはそんな食い方は推奨していないのだが、先日串揚げ屋に行ったら、ごままんじゅうの串揚げという凶悪なものが登場し、それが美味かったのだ。この理屈でいくと、えがらまんじゅうを揚げて美味くならないはずがない。

「つかもと」のえがらまんじゅう1個150円 輪島市観光協会サイトより http://wajimanavi.lg.jp/www/topics/gourmet-meguri/bura/tsukamoto/
しかし、味に関しては約束された勝利だが、えがらまんじゅうはこし餡という重鎮を餅でくるんだ上もち米をまぶすという、炭水化物二重奏である。それに油をプラスするのは、健康とか美容以前に倫理に反しているような気がしてならない。
だが「食事」という行為自体、他者の命を奪う行為である。炭水化物を油で揚げることすら出来ぬ者が生きていけるわけがない。
そんな壮大な言い訳をしないと、なかなかやる勇気が出ない調理法だ。
実はその前にうちには「エアーフライヤー」という、熱風を使うことより油を使わず揚げ物が作れる機器があるのでそちらでも試してみたが、正直表面がさらにパサついただけであった。
世の中がこぞって「油を使わないけど揚げたみたい」を推すのは、逆に言えばそれだけ油が魅力的ということであり唯一無二の調理法だからだ。

写真はイメージです
そして今度はその唯一無二の方法でえがらまんじゅうを揚げてみた。
「完全優勝」である。
もちろん、私の「アメリカの肥満児舌」による判断なので、そのまま食べるのがベストなのかもしれないが、もしえがらまんじゅうを手にいれた人がいたら「揚げる」も一考してみてほしい。
もちろん『自己責任』でだ。
<文・イラスト/カレー沢薫>
【カレー沢薫(かれーざわ・かおる)】
1982年生まれ。漫画家・コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。主な漫画作品に、『
ヤリへん』『
やわらかい。課長 起田総司』、コラム集に『
負ける技術』『
ブスの本懐』『
やらない理由』などがある