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“見た瞬間のインパクト”がすさまじいご当地菓子とは?/カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」

味もちゃんとした「ジャパンの土産」

「見た瞬間のインパクト」にステータス全振りと言ったが、もちろん菓子としてもちゃんと成立しており、もなかの中にはあんこが入っている。このあんこが美味い。  そしてあんこの量は、人形の大きさに対し抑えられているため、くどくなっておらず、見た目の破天荒さに対し味は堅実な日本の和菓子である。  確かに見た目がエキゾチックジャパンでも、素材がクリスマスのケーキに載っている砂糖で出来たサンタと同じなら「それいつも食っているよ」と外国人旅行者もご立腹だろう。  旅がらすは見た目だけではなく、内容もちゃんとした「ジャパンの土産」なのである。  実際、「旅がらす」は2016年度 全国おみやげグランプリ各国審査員賞(アメリカ)を受賞しているそうだ。  つまりアメリカでは「誰と行ってきたかは別として日本に行ってきた証拠」としてこの旅がらすが活躍しているということである。

「もう一度飛騨に行きたくなるように」という願い

 この「旅がらす」を製造しているのは、岐阜県高山にある「まるでん池田屋」だ。  まるでん池田屋は大正時代からの老舗で、旅がらすの他にも、五平餅など多くの菓子を製造販売している。
 この旅がらすは「もう一度飛騨に行きたくなるように」という願いを込めて作られているそうだ。  だが残念ながら、この旅がらすがどのように製造されているかは調べることが出来なかった。この手の込みようからして、全て機械というわけにはいかないだろう。少なくとも三度笠をかぶせたり、道中合羽を巻く工程は人力な気がする。 「ベテランが最後三度笠をかぶせる」などのルールがあったりするのだろうか。一度その製造現場を見てみたいものである。 <文・イラスト/カレー沢薫>
カレー沢薫
かれーざわ・かおる 1982年生まれ。漫画家・コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。主な漫画作品に、『ヤリへん』『やわらかい。課長 起田総司』、コラム集に『負ける技術』『ブスの本懐』『やらない理由』などがある
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