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妻・中山美穂と愛人・黒木瞳がついに遭遇?『黄昏流星群』の悩める女たち

亀山早苗の不倫時評――ドラマ『黄昏流星群』の巻 vol.7>  人生の“黄昏どき”に立つ、男女の恋愛を描いたドラマ『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』(フジテレビ系、木曜夜10時~)。  瀧沢完治(佐々木蔵之介)はスイスで知り合い、出向先の社員食堂で働いている栞(黒木瞳)とついに関係をもった。妻の真璃子(中山美穂)は、娘のフィアンセとキスをした。そして娘・美咲は大学時代の恩師と不倫。一家全員がアヤシイ行動をしているのだが、全員が膠着(こうちゃく)状態となっている7回目。

不倫相手の娘に「父と別れてください」と言われる愛人

 大人というものは、分別があるだけ始末が悪い。自分の立場やしがらみや来し方行く末を考えると身動きがとれなくなってしまうのだろう。  栞は、ケガをした完治の病院に思わず駆けつけるのだが、そこで娘の美咲に会って「父と別れてください」と言われる。これは不倫をしている「大人の」女には堪(こた)えるはずだ。妻に脅されるよりずっと堪える。  だからこそ栞は完治と距離を置こうとする。完治が、会社で新たな事業計画をたててひとりで対応しているのを横目で見ながらも、なんとか自分を律しようとするのだが、「彼を助けたい」という欲求には勝てない。ひとりで残業を続ける完治のもとへ夜食を運び、仕事を手伝う。

夫と親しげな愛人の姿を、ついに見てしまう妻

 そんなときに限って、夫の不穏な様子に耐えきれなくなった妻が焼きすぎたパンをもって夫の元を訪れる。そして妻は見てしまうのだ。夫が栞と仲良く倉庫の外のベンチで夜食をとっているところを。  妻は一歩も動けない。そこへ乗り込んでいけば事態は変わるのに、大人の分別が勝ったのか気が動転したのか、目の前で起こっている事実から目を背ける。  栞が自分の感情を律することができなくなって、関係を持って以来、初めて完治に寄り添った晩に妻に見られてしまう。だが、妻はずっとそんなことが続いているのだと当然、誤解する。こうやって、男と女には、知らないうちに溝ができて深まっていくのだろう。  心乱れた妻は、娘のフィアンセの誘いに乗って、夜の遊園地で憂さ晴らし。距離を縮めたがっている若い男性の心を知りつつ、なんとか家の前で彼を帰す。  このドラマに出てくる大人たちの中で、いちばん自分を律しているのが妻の真璃子である。だが、それは自分の信念によるものではない。 「家族を守りたい、揉めたくない」という防衛本能に近い。だからこそ、「おとうさんと向き合っていない」と、娘に責められる。 「おかあさんを見ているといらいらする」という娘の言葉は、専業主婦の母には痛い。そこを的確に慰め、認めてくれるのが娘のフィアンセということなのだ。  一方、娘の美咲もまた、「恋愛と結婚は別」と割り切って、大学教授と不倫を続けながら結婚準備を進めている。結納も終わり、心配する父に、「先生はロンドンに行ってしまうから、終わりなの。ちょうどいいね」とつぶやく。  ところが最後に、美咲は失踪する。ロンドンへ行きますという手紙を残して。若さゆえに自分を律しきることなどできなかった。
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3人の女性の生き方が浮き彫りに
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