スカートもトップスもすべて大き目で。“スタイリングの教科書”から外れてみて
【モードをリアルに着る! Vol.62/小林直子】
トレンドとはシルエットの変化です。現在は2000年ごろのタイトシルエットに比較して大きなシルエット、つまりビッグシルエットになりました。
すると変わってくるのはまず素材、装飾、そしてもちろんコーディネートです。
よく売られているスタイリングの本には、大き目のコートやジャケットにはタイトなボトム、ワイドパンツや生地をたくさん使ったボリューム感のあるロングスカートにはタイトなトップスを合わせようと書いてあります。
しかしシルエットが変わってしまうと、必ずしもそれが正しいというわけではなくなります。それがファッションの面白さでもあり、なかなか理解されにくい面でもあります。
2018年も、もう終わろうというころになって、カルバン・クラインのチーフクリエイティブオフィサーであったラフ・シモンズがカルバン・クラインを去るとの発表がありました。
最近、元気がなかったカルバン・クラインを復活させたのみでなく、評判もよかったので残念ですが、最後のコレクションとなった2018年秋冬より、「これまではこういうコーディネートはしなかったけれども、これからはこうするのが格好いいよ」と、ラフ・シモンズが提案している印象的なルックを紹介いたします。
フロアスウィーピングスカート、つまり床掃除スカートと呼ばれている、まるで道路や床を掃除して歩いているようなロングスカートを、チャンキーセーターと呼ばれる、ずんぐりした大き目のセーターに、まるでお父さんから借りたようなオーバーサイズのコート、そしてシルバーの消防士風手袋に合わせています。
今の気分を表現したこのルックは、スカートもセーターもコートもすべて大き目で、スタイリングの教科書から言ったら、大きくバツがつけられそうですが、これが今のモードです。
ロングスカートの上に何を羽織るかというときに、ショート丈を合わせるのがバランスがいいと多くのスタイリングの教科書には書いてあるでしょうけれども、全体をビッグシルエットにしたい今なら、こんなふうにミドル丈またはロング丈のコートの下からスカートの裾が出ても全く問題ありません。
このアメリカ開拓時代風のスカートは色も素材も軽やかで、真冬の重たい感じはありません。太い糸で編んだローゲージのセーターに、やはり重い素材のコート、そしてこの真冬らしくない明るさと軽さを持つロングスカートの組み合わせに新鮮さがあります。
私たちがこのルックを真似る場合にも、シルクやコットン、ポリエステルの軽やかな素材のロングスカートを合わせればいいでしょう。ロングスカートですから中にはタイツでもブーツでも合わせられますので、必ずしも分厚い素材である必要はありません。
今年の春夏はロングスカートをはいている人もかなりいたと思いますから、その中で今の時期でもはけそうなスカートを引っ張り出してはくのもいいでしょう。ロングスカートではなくてもロングのワンピースでももちろんOKです。
カルバン・クラインを去るラフ・シモンズのルックは教科書外
軽やかな素材のロングスカートやワンピースで
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