元日の朝、彼女から夫に連絡があったそうだ。ひとりでお正月を迎えた、
こんな寂しい思いをするなら死んでやる、と。
「それで夫はジョギングのふりをして彼女の元へ向かった。そこでいろいろあったみたいです。
彼女が包丁を持ちだして自分の首に当てたりして」

夫は怖くて自宅に帰れなくなった。自分が帰ったあとで本当に死なれたらどうしよう、と恐怖で動けなくなったそうだ。
「バカみたいですよね。それを聞いたとき、男ってどうしてそういう女を見極められないんだろう、どうしてわざわざそういう危うい女に近づくんだろうと思いました。夫に聞いたら、『
自分がいないと彼女はダメになってしまう』と思ったんだそうです。バカですよね」
吐き捨てるようにミサさんは言うが、
男の中には確かにいくつになっても、「自分がいないとダメなんだ」と思わされるような女性に惹かれるタイプがいる。そしてミサさんの夫がそういうタイプだったということなのだろう。
しかし結局は、そういう彼女を支えきれない、最後まで責任をもてなかった。それは夫が結婚しているという理由だけではなく、長くそういう彼女と一緒にはいられない性格だったから。
「夫もそう言っていました。
頼られて全面的によりかかられて最初はうれしかったけど、重くなったと。それを最初から見抜けないのが悔しいんですけどね」
危険なものに近づきたくなる心理は男女ともにあるものだが、ミサさんの思いは女性共通のものかもしれない。
「とりあえずは私が出ていって、彼女にもう夫とは会わないと一筆書かせました。夫と私がどうなるかはこれからの問題ですね」
<文/亀山早苗>
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