子供ができない40歳妻。不倫相手と駆け落ち寸前に知った、夫の本心とは
空港にはいるはずのない夫が
「成田で彼と待ち合わせていました。彼の姿が見えてそちらに足早に向かっていったとき、横からすっと現れたのが、会社に行ったはずの夫。『行くな』『やり直そう』と夫が叫んだんです。目の前の夫の向こうに彼が見える。夫を突き飛ばして彼のもとへ行くこともできました。そうしようかと夫を見たとき、夫の目から大粒の涙がぼろぼろこぼれ落ちているのが見えて……」
ちょっと待ってと彼女は深呼吸した。ここで情にほだされたら後悔する、と彼女は急に冷静になった。自分はどうしたいのか、誰を愛しているのか、誰と一緒にいたいのか。
「『子どもなんてどうでもいいよ。オレはエリカが好きなんだ、エリカと一緒に生きていきたいんだ』と彼は大声で言いました。あ、私が聞きたかったのはこの言葉なんだと思った。スーツケースを放り出して夫に抱きつきました。ふと見ると、彼が搭乗口のほうに向かってひとりで歩いていくところだった。申し訳ない気持ちはあったけど、私は夫に抱きついたままだった。離れたくなかったんです」
ただ一緒に生きてほしい
亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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