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“産まない”ことを決めた、34歳女性の胸のうち。「夫の一言で前を向けた」

夫とのすれ違いに苦しんだ日々

「夫婦共働きといえど収入が多いわけでもなかったので、いつまで続けるかわからない不妊治療にどこまで生活が耐えられるかと悩みました。そもそも私も夫も子供が本当に欲しいのか、今の全てを投げ打ってでも、生活をギリギリに切り詰めてでも不妊治療をする必要があるのか。今後夫婦としてどう暮らしていくか考えて、夫とも毎晩話し合いました」 夫婦のすれ違い しかし夫婦の話し合いは、うまくいかないことも多かったようで…… 「価値観の違いを感じたり、自分の気持ちを理解してもらえなかったり、苦しいことが多かったです。衝突が続いて顔も合わせたくないときは、ビジネスホテルで一晩過ごしたりもしました。だけど夫が私との未来を真剣に考えてくれていることはまだ救いだと感じられました。  それよりもつらかったのは自分や夫の両親から『いつになったら孫に会えるの?』と聞かれたときでしたね。両親は生きてきた時代も違うし女性は結婚したら家に入って専業主婦として子育てをするのが当たり前という価値観でしたから。働きたいという私の希望と両親の期待、そんないろんな思いが積み重なって号泣してしまうことも度々ありました」  なかなか答えの出ない話し合いの中で、夫のあるひと言をきっかけに千香子さんは考えを改めることに。

千香子さんを変えた、夫のひと言

「夫から『子供がいなかったとしてもそれで家族が成り立たないわけじゃない。妊娠出産も大切だけど、それより君が不安にならない家族の形を一緒に考えようよ』と言われたんです」 夫婦 夫の言葉で、それまで「とにかく妊娠して出産“しなければならない”」という固定観念に縛られていたことに気づかされたという千賀子さん。 「“~すべき”、“~しなければならない”という考え方は大切なこともありますが、私の出産に対する思いに関してだけ言えば自分自身を苦しめていたんです。  本当に子供が欲しいか、今後どのように生きていきたいか考えて……出産はしないことに決めました。夫婦の生活と仕事に集中して幸せを得たいと思ったんです。選ぶまではたくさん泣いたりもしましたけど、そういう経験も踏まえて『生きていてよかった』と思える人生にしたいです」  千香子さんは葛藤の末、“今あるもの”に集中することを決めたのです。
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友だちの赤ちゃんを見て、おめでとうと笑えるようになった
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