失恋の傷を癒やしにNYへ一人旅。空港でやらかした大失態とは…
こんにちは。ライターの高木沙織です。私はかつてグラホ(グランドホステス、グランドスタッフ)として6年間勤務していました。みなさんも空港で接する、航空会社の地上職です。
20代前半のピュアな職場恋愛。片思いでかつ3回フラれましたが、私にとってはキラキラした甘酸っぱい恋を思い出したグラホ裏話5話。
今回の第6話では、失恋から1人ニューヨークに旅立ったお話しです。
エアラインスタッフの特権と言えば、自社の航空券が格安で購入できること。私が勤務していた当時はまだ空港使用税と燃油サーチャージを含んでもニューヨークへの往復が1万円以下でできちゃったんです。行き先はニューヨークではなくても、自社便が就航している国ならどこでもオーケー。
なので、ゴールデンウィークや夏休み、正月といった繁忙期以外の時期の私たちは有給を使って海外旅行に行く順番待ちが常でした。
私が失恋直後にタイミングよくニューヨークに行けたのは、偶然にもその時期に休みの希望を出す人が少なかったから。まあ、入社3年目にもなると休みを取りやすくもなるし、有給が溜まっていたのも考慮されたのかもしれませんね。
予想に反してすんなりと10連休を確保できた私。チケットも自分で予約をして取りました。自分のチケットを自分で取る、「なんだか私もすっかり一人前になったなー」、なんて思いながら。
そうそう、なぜ行き先をニューヨークにしたのかをまだ話していませんでしたね。
ヨーロッパやオセアニア、アジアの国々へも渡航可能ななかでニューヨークを選んだのは……、アメリカの連続テレビドラマ『SEX AND THE CITY』にどハマりしていたから。と言うのも、失恋をして仕事以外では外に出たくなくなり、ずーっとDVDを見ていたのです。
何もかもが先をいっているストーリーの面白さやそれぞれのキャラクターの魅力、ニューヨークってどんなところなんだろうという好奇心を抱いたのは私だけではありませんでした。なんと先輩方も『SEX AND THE CITY』を見て1人でニューヨークに旅行をしていたのです。
私はというと、3番手。先輩の話を参考に旅の計画を立てていたら、失恋による喪失感はワクワクへと変わっていきました。
そして、いざ出発!
私が利用したのは自社便。スタッフが購入する航空券は特別なもので、仕事で利用する際とオフで利用する際とで券種が異なります。そしてその情報は、グラホがチェックインするときにも、搭乗客のリストをCAに引き継ぐときにも分かるようになっているのです。「あ、20Aはスタッフね」といった具合に。
また、スタッフが利用するときの座席はだいたい決まっているうえに情報が共有されているため、着席するのと同時にCAからフライト情報に関する質問責めにあうこともあり、私も例外ではありませんでした。「今日は完全なオフだからわかりません」と答えたときのCAの残念そうな顔……。
機内食やサービスは一般のお客様と同様にしてくれることもあり、申し訳ない気持ちで過ごすという想定外の居たたまれなさに耐えること約10時間。途中、簡素なアメニティも配布されるのですが、もちろん私の分はなし。当然ですよね。そんなこんなでニューヨークに到着です。
ちなみに当時の英語力は、『SEX AND THE CITY』を字幕なしで理解できるくらい。なので、観光で困ることはなく、キャリーの家や『ナイト ミュージアム』の舞台となった自然史博物館、セントラルパーク、タイムズスクエアを満喫し、ニューヨークから国内線に乗り継ぎボストンまでひとっ飛び。
が、しかし! このあとグラホとしてあるまじき大失態を犯すのです。
ニューヨーク往復が1万円以下!
海外ドラマの影響で、NYひとり旅がブーム

機内では居たたまれない

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