妻のDVに苦しむ夫は意外と多い。殴られて救急搬送された夫が語った“恐怖”
「いちばん怖かったのは、子どもを人質にとられていること」
彼が息子を迎えに妹宅へ行ったとき、隠れて待っていた妻から襲撃を受けたこともある。それでも彼が警察沙汰にしなかったのは、「息子の母親を犯罪者にしたくなかったから」だという。
彼は弁護士をつけ、離婚を模索したが話し合いは決裂。調停、裁判と進んで、ようやく親権をかちとって離婚した。
「妻が暴力をふるうと言っても、あまり周囲に信じてもらえないんですよね。精神科医の医者も頼りにならなかった。
私がいちばん怖かったのは、子どもを人質にとられていること。だから妻を怒らせるようなことはしたくなかった」
今は息子とふたり暮らし。忙しかった外資系企業を辞めて、友人と起業した。家でできる仕事も増えたが、12歳になった息子のほうが最近多忙だと笑う。
「でも時間があると息子とふたり旅をしています。この夏もふたりで自転車の旅をするつもり」
サトシさんは、「過去のあの日々を思い返すだけで今も怖い」と最後にぼそっとつぶやいた。
<文/亀山早苗>
⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio


