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16歳の愛犬が旅立った日…病と闘い続けてくれてありがとう|ペットロス Vol.28

最後のブラッシング

 ケフィを家に連れ帰った後、ブラッシングをし、体中をきれいに拭きました。いったい何千回、何万回、こうしてブラッシングをしたかわかりません。でも、これが最後のブラッシングです。 雪の中で 木附さんが16年間一緒に暮らした、ゴールデン・レトリーバーの「ケフィ」 以前はふさふさだった黄金色の被毛は、抗ガン剤の影響もあってここ1年ほどですっかり薄くなってしまいました。リンパ腫のせいであちこちにハゲはできたし、老犬性のおできもたくさんできました。パンパースグラスのように立派だったしっぽの毛も抜け落ち、芯が透けて見えるほどみすぼらしくなりました。  どれもこれもケフィができるかぎりの力を振り絞って、それだけ長い間、私のそばにいてくれた証拠です。 「こんな体になるまで、ずっーとがんばってくれて、ありがとう。ケフィ」

相棒猫・でんすけを見送った霊園へ

 1月6日の午後、1年ちょっと前にケフィと一緒に相棒猫・でんすけを見送った霊園で、ケフィは荼毘(だび)に付されました。  顔の周りにはたくさんのお花を飾りました。お腹を空かせることがないように大好きなおやつやドッグフードを持たせ、寂しくないようにお気に入りのぬいぐるみも入れました。ひとりでも退屈しないよう、ひとり遊びに使っていた「キュッキュッ」と鳴るおもちゃも入れたし、テニスボールも入れました。一緒にテニスコートを走り回ったときを思い出してもらえるように……。
海の中で笑う 木附さんが16年間一緒に暮らした、ゴールデン・レトリーバーの「ケフィ」

宮古島のビーチで

 虹の橋までの道中、雨が降っても大丈夫なようにレインコートと寒さよけのブランケットをかけ、いちばん上にケフィが好きだった宮古島のビーチの写真を乗せました。海で「持ってこい」をしたときのボールと一緒に。  公園で使っていたボールと一番のお気に入りのぬいぐるみは、どうするかさんざん迷いましたが、形見として置いて逝ってもらうことにしました。残された者がケフィを偲ぶために。

心からの「ありがとう!」を

 満足そうに眠るケフィの笑顔を見つめながら、私の大好きな耳の上のつんつんとした毛をひっぱり、耳の下の飾り毛を整えました。死に水を取り、頭と顔を撫でました。これが形のあるケフィに触る最後の機会です。  そしてすっかり冷たくなったおでこにキスをし、お別れを告げました。 「ケフィがいたからこそ私の人生はあんなにも輝いた。ケフィに出会えたからこそ、あんなにも楽しい毎日があった。16年間、本当に本当にありがとう!」 ===================== <文/木附千晶> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
木附千晶
臨床心理士。「CAFIC(ケフィック) 子ども・おとな・家族の総合相談 池袋カウンセリングルーム」主宰。子どもの権利条約日本(CRC日本)『子どもの権利モニター』編集長。共著書に『子どもの力を伸ばす 子どもの権利条約ハンドブック』など。著書に『迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生のものがたり』、『いつかくるペットの死にどう向き合うか』など。
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