バービー人形に裁判官が登場。「女の子は何にでもなれる」
バービーが「ファッショナブルなブロンドドール」というイメージは間違っているかもしれません。
今年10月、バービーを販売するマテル社から、裁判官のバービーが発表されました。

マテル社の調査によると、女の子が5歳前後で自分の可能性にリミットを感じ、自分に自信を失い始める傾向があるのだとか。そのため同社は2018年、ニューヨーク大学と共同で「ドリーム・ギャップ」プロジェクトを立ち上げました。少女たちが自分に自信を持ち、自分の可能性を狭めないようにするためです。
そして「You Can Be Anything(あなたは何にでもなれる)」と呼びかけています。
そうして発売されたのが、裁判官バービー。記事を紹介するツイートは、(筆者にしては)多くの共感を呼びました。
マテル社の広報によると、バービーの生みの親のルース・ハンドラー氏はバービーについてこう語っています。
「私のバービー哲学は、ドール遊びを通じて、小さな女の子は自分のなりたいものに何にだってなれるということ。そしてバービーは女性は“選択”ができるという事実を表現していること」
バービーはデビュー当時から女性は何にだってなれることを示してきたんですね。
現在、バービーは200種の職業を販売しているとのこと。裁判官はそのうちのひとつですが、マテル社は「バービーが女性の数の少ない職業になることでお子さまに可能性の広がりを提示しています」と言っています。
「より多くのお子さま、そして親御さんや大人の方たちにもお子さまにとっての影響を与える玩具メーカーとして正しい選択をしたと考えています。遊びの選択肢が広がることは、より多くのお子さまが、より楽しく遊べるということ。そしてより現実を反映することで、より共感を得られることでしょう」
幼い子どもにとって、裁判官という職業は身近なものではないはずです。だからこそ「こんな職業がある」と知れば、より多くの選択肢から自分の夢を持つことができます。例えば自分の身の回りにある「ケーキ屋さん」や「美容師さん」しか職業を知らなかったら、どちらかになるしかないと思い込んで選択肢が少ないと感じ、辛い思いをするかもしれません。でも、よりたくさんの職業があると知っていたら、その中から自分に合った仕事を選ぶことができるし、なりたいものが見つかるかもしれません。夢があれば努力ができます。たくさんの知識を得ることは、女の子の幸せに繋がるんです。
また今年、2019年には車いすや義足のバービーも登場しました。
これまでも、様々な肌色、体型など多様性のあるバービーが発売されてきました。人間はいろんな性格や外見を持っていて、決してひとつのタイプだけではありません。もちろん、障害があることは、悪いことではありません。小さいうちから多様性があることを学べば、差別をなくしていけるでしょう。
自分とは違う人格や環境を楽しめるドール遊びは、とても楽しいものです。
これまで、キラキラした着せ替え遊びに過ぎなかった女の子のドールに、強烈なメッセージと希望を盛り込んでいるバービー。女の子の人生をサポートしてくれる、憧れの女性なんですね。世界中でバービーが人気なのが、よくわかります。
<文/和久井香菜子>
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バービーに200種もの職業がある理由

車いすや義足のバービーも
和久井香菜子
ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「合同会社ブラインドライターズ」代表