多感な時期には、「シャツの中に手を入れてドアノブを開けているので右裾だけ伸びる事件」が発生したり、「ベルボトム玄関条例」というマイルールがあったそうです。ベルボトムの裾は地面を擦っているので「ツバが固まってカスカスになっちゃったのを吸い取ってるわけだから、玄関でベルボトムを脱いで部屋に上がる」という習慣を自分に課していたそうです。
たいがー・りーさんは
地面のホコリとか汚れを「デスパウダー」(死の粉)と称していました。「関内にはデスパウダーが多い」と、独自の説を展開。「靴下を脱ぐのに2つのビニール手袋を使い捨てます。地面が怖い。イメージ的に死の粉みたいなのがまぶされてる」とのことで、ただごとではないです。
靴下どころではなく靴を頻繁に捨てていた「
靴捨条例」の時期もあったそうです。「
歩いてると靴に小石が入ってきちゃう。この小石って地面じゃん、死のパウダーの塊じゃん。って石が入るたびに捨ててた。それが6足にもなって、もったいないし靴にも悪いし、それからゆっくり歩く方法を取りました」
さらにたいがー・りーさんの心の救いとなったのは、意外にも歌だそうです。
「歌歌うとテンションを巻き返せるよ。歌で解決したの。『
もうちょっとあとちょっとで♪家に着くはずなのに~♪もうこんなところで~♪やっぱ石だよな~~♪』と、歌うことで解消されました。歌はずっと人を助けてきたんだよね」
才能が多岐に渡るたいがー・りーさんだからこそできる解決法かもしれません。
潔癖症を治すという主旨のイベントでしたが、その後、とくにたいがー・りーさんの症状に変化はないものの「
声援っていいなと思いました。命がけで戦おうという自分がいます」と、ポジティブな姿勢を見せていました。
ちなみにこのイベントのトークに聴き入っていたら、私は潔癖症がちょっとうつったのか、駅のゴミ箱のフタにちょっとでも触れたら気になって拭いたり洗うようになりました。細菌と同様に、潔癖症も軽く伝染するのかもしれません……。潔癖症は想像力と関係していると思うので、良い方向に使えるようになりたいです。
<文&イラスト/辛酸なめ子>
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