空港でよく起こるパスポートトラブル。「忘れなければOK」じゃない
こんにちは。ライターの高木沙織です。
かつてグラホ(グランドホステスの略、現在のグランドスタッフ)として6年間勤務してきた私。みなさんも空港で接する、航空会社の地上職員です。
前回は乾燥している冬の空港で喉を痛め、喉の炎症から40度超の発熱をした話でした。冬の繁忙期は水分補給のタイミングを逃して、しょっちゅう声がガサガサになったものです…。
【第18話】⇒空港勤務の女性を襲った冬の悲劇。体がガタガタ震えとまらない…
今回の19話では海外旅行をする際、絶対になくてはならない“パスポート”のお話。グラホがチェックインカウンターでもっとも注意深く確認するものでもあります。
……が、その大事な大事なパスポート。「忘れずに持ってきた」から安心? いいえ、意外と事件が起こりがちなんです。
それでは、ほっこり和むエピソードからバチバチ大げんかものまで、高確率で遭遇したパスポート関連の事件をお話ししていきましょう。
海外に行くのなら赤ちゃんだってパスポートが必要です。とは言ってもそこは赤ちゃん。パスポート用の写真撮影のために目を開いて口角を上げて、なんてできません。ましてや生後間もなく飛行機に乗るような場合は、ベッドに仰向けの状態でお母さんが撮影した写真が使われることがほとんど。
これがね、まぁかわいいんですよ。モッチモチな顔のお肉がポテーンと流れていたり、半目だったりするんですから。「なんとかパスポート用の写真を!」というお母さんの努力も伝わってきますし。
パスポートの写真と赤ちゃんを交互に見ては、「あーかわいい、たまらん」と思わず頬が緩んでしまう、殺伐としたチェックイン時には珍しい癒しを感じるひとコマです。
いざパスポートの出番だというとき、真っ先に確認するのが有効期限でしょう。有効期限が切れたパスポートは使えませんから。
まずここで「あ、申請しに行かなくちゃ!」「よし、大丈夫」など現状を把握できますよね。
ではなぜチェックインカウンターでパスポートの期限切れなんてことが起こるのか?
一番多かったのは、パスポートコレクターによる「古いパスポート持ってきちゃった!」です。入出国のスタンプが押されたパスポートって、旅の思い出のひとつなんですよね。だから処分したくないという人は珍しくありません。
まぁ、家を出る前にパスポートの中身を確認すれば防げることなのですが、稀に有効期限が切れた古いほうのパスポートを持ってきてしまう人がいるというわけです。
しかもどういうわけか、友人や彼氏と旅行に行くという人に多いのだから、チェックインカウンターは大騒ぎ。
「私のことは気にしないで行ってきて」
「いやいや、そういうわけにはいかないでしょ」
「ううん、本当に。せっかく休みを取ってお金も払ったんだから」
「いや、また改めて一緒に行こうよ」
「だから、私はいいって(怒)」
このあたりからパスポートを忘れたほうが怒りの感情をチラつかせます。やらかした自分への不甲斐なさ、悲しさ、いろいろな気持ちが入り混じっているのでしょう。
赤ちゃんの写真は癒し度300%
期限切れのパスポート持ってきちゃった!


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