今回の小倉優子の件もしかり。彼女は17歳で、「こりん星」からやってきた。それからの自らのシフトチェンジは、なかなか見事なものだった。こりん星を捨て、29歳でカリスマ美容師と結婚し、ふたりの子をもうけて「ママタレ」として全力疾走した。
こりん星のころは見向きもしなかった女性たちが、ママタレの彼女を評価しはじめた。出産しても衰えない美貌、かわいい口ぶりとは違うしっかりした性格。料理本を出すほど実は料理がうまい。そういえば料理上手は頭がいいというイメージもある。
『小倉優子の幸せごはん』(講談社)
実は意外と頑固で口うるさいという噂もある。だが、子どもがいて一家を切り盛りする主婦である。頑固で口うるさいは、自分の意志をはっきりもったしっかり者のおかあさん、に変換され、さらに好感度が増した。
前夫との離婚原因は、夫の浮気。しかも彼女の事務所の後輩とくれば、一気に同情が寄せられる。シングルマザーとなった彼女は、ますます女として箔(はく)がついた。
そして離婚から1年9ヶ月後、半年の交際を経て10歳年上の歯科医との再婚。女としては明らかに勝ち組となった。料理の腕にはますます磨きがかかる。彼女は再度、「夫に愛されているママタレント」として評価された。
おそらく彼女自身、仕事が好きなのだろう。だから自分の能力を生かし、シフトチェンジを繰り返しながら、考えられる最上の選択をしてきた。
妻の価値観や人生観を理解できなかったのかもしれない
夫は一般人である。芸能人として、常にプライバシーの公開も仕事のうちと考える妻とは違う。自分が食べる料理はいつもSNSにあげられ、子連れで散歩すれば写真を撮られ、妊娠がわかれば世間に公表すると妻は言う。夫からみれば、「どうして? 僕たちの生活は誰のもの?」の連続だったのではないだろうか。
交際半年では、芸能人として生きてきて、これからも生きていくつもりの妻の価値観や人生観を、心底、理解することはできなかったのかもしれない。
ゆうこりんと歯科医の夫。やはり違う星の住人なのではないだろうか。
<文/亀山早苗>
⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】