「私のことどう思ってる?」
「ユウさんは可愛くて素敵な女性だから、もっと知りたいなと思ってる」
彼のその言葉にユウさんは一瞬舞い上がりかけましたが、「でも、他にもデートしている人がいて、みんな素敵な人たちなんだ。だから、ユウさんともその人たちとももう少しデートをして、ゆっくり見極めて一人決めたいと思ってるよ」
彼の正直すぎる発言にショックを受けたユウさんでしたが、私を選んでほしいとアピールすると彼は、「ありがとう。次回のデートまでに答えを出すね」と言ってくれたのでした。
そうして次回、6回目となるデートの終わり際――。答えを聞こうとするユウさんに対し、彼は平然とこう言いました。
「あ、そうか。ユウさんはもう30過ぎているからアセってるんだね」
思いもしないその一言にユウさんはア然。彼はさらに続けて、「僕はやっぱり、じっくり考えて相手を決めたいから、アセってる女性はごめんなさい」

「決断力のない人はだめだなって、今となっては思います」
「次回のデートまでに答えを出すと言ったのはそっちだよね? って言えばよかった。私が、結婚をアセってて待てない女みたいに言われて本当に悔しかったです。
でも、そのときは何も言えませんでした。なんだかこっちが無理を言って困らせているかのような空気になっちゃってる気がして……」
彼のことを好きになってしまっていたユウさんは、しばらく落ち込んだと言います。一度は彼に、「私は好きだから、待たせて。ゆっくり答えを出してほしい」と追いすがるようなLINEを送ってしまったこともあったものの、既読にはならなかったとか。
「決断力のない人はだめだなって、今となっては思います。どんなに気が合っても、3回デートして告白してくれない男性は切ったほうがいいですね」
時間は有限なので、と感情を込めて言うユウさん。決断力があるかどうかという点も、結婚相手として重要だと捉えるようになったのだそうです。
―シリーズ「
許せない一言」―
<文/船田 ゆかり イラスト/真船佳奈>