朝ドラ『エール』のビックリ初回が賛否両論。脚本家の降板はなぜ起こる?
名作『おしん』ですら脚本が変更されている
脚本に修正が入るのは普通のこと
ある中堅のシナリオライターは言います。 「いくつかの直しを経て決定稿になっても、完パケや放映をみたら力を入れた台詞が書きかえられていたり、書いていなかったナレーションが入っていたりしますね。プロット(あらすじ)を他の誰かが書いていて、自分は脚本に起こすだけということもあります。 つまり、脚本は全て脚本家が書いているわけではないんです。手が加わった結果、視聴者に伝わりやすくなって、高評価になることも多いのですが、『脚本がいい』と自分だけの手柄のように言われると複雑な気持ちになります」 ドラマでは、ストーリーがよければ脚本に大きな評価が向きがちです。反対に視聴率や内容が悪ければそれがどんな演出であっても脚本が悪いと言われることもしばしば。たしかに一理ありますが、脚本家にはそれだけ責任が重くのしかかってくるのです。 だからこそ演出にカットを委ねた橋田氏のように、制作サイドと信頼のおける関係であることが、素晴らしいドラマを生むことに一番必要なことなのではないでしょうか。 ゴタゴタやオープニングに賛否がありながらも、上々の出だしとなった『エール』。仕切り直したことが功を奏し、これから私たちの朝を爽やかな展開で彩ってくれることを願います。 <文/小政りょう>
小政りょう
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦
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