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ryuchellとpecoが開いた新しい家族のとびらとは

亀山早苗の恋愛時評> 次々と報道される有名人の結婚離婚。その背景にある心理や世相とは? 夫婦関係を長年取材し『夫の不倫がどうしても許せない女たち』(朝日新聞出版)など著書多数の亀山早苗さんが読み解きます。(以下、亀山さんの寄稿)

ryuchellの離婚コメントに賛否

タレントのryuchellさんと妻でモデルのpecoさんが突然、離婚を発表してから約1ヶ月。 「父親としての役割は誇りをもってできるのに、夫でいるのがつらかった」という言葉は、世間をにぎわせた。 彼のセクシュアリティと密接にからんだこのできごと、一部では「pecoがかわいそう」「子どもがかわいそう」とも言われ続けている。一方で、ryuchellのインスタグラムには、吹っ切れたように美しくなった彼の写真が掲載されている。デビューから20年のときを経て、自分らしさを全開させるようになった氷川きよしさんのことも頭をよぎる。

どれほど苦しかったのだろうかと想像に難くない

ryuchellさんはpecoさんについて、「初めて好きになった女性」と言っている。ふたりはその後、インタビューに応じた。ryuchellさんは離婚発表の前日に、4歳の息子に「男の子が男の子を好きになることもあるよね」と話したそうだ。pecoさんがフォローして「ダダ(パパ)はそういう人なんだよ」という話もしたと語っている。 彼は、自身の恋愛対象については最初からわかっていたのだろう。だが人間的に、全人格的にpecoさんのことを好きになった。彼女はたまたま女性だった。だからそのまま結婚し、息子が生まれて3人家族になった。そういうことなのではないだろうか。 ただ、ryuchellさんはやはり異性が好きなわけではなく、「夫」という役割にもなじめなかった。「夫役割」と自身の距離に本人がいちばん戸惑い、心が壊れかけていたとpecoさんが証言している。 ふたりは18歳で恋に落ち、21歳で結婚、23歳で親になっている。ryuchellさんがジェンダーレス男子として人気者になったのは周知の事実だが、実際のセクシュアリティについてはpecoさんも知らなかった。彼は妻に「騙していてごめんなさい」と言ったそうだ。どれほど苦しかったのだろうかと想像に難くない。自分自身でいることが相手を騙すことにつながるとまで思い詰めていたのだから。
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ますます複雑化するセクシュアリティの中で
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