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南極観測隊に参加した30代女性がいる「秘境が大好きなんです」

 地球上で最も寒く、「氷の大陸」といわれる南極。日本のおよそ36倍の広さを持ち、陸地は氷床と呼ばれる厚さ平均約2.5kmの氷で覆われているなんて未知の世界ですよね。  人間の活動圏から遠く離れた南極は環境汚染が最も少なく、地球環境の変化を正確に測定できるため、「地球の健康度をはかるバロメータ」「地球のタイムカプセル」などとも呼ばれています。
七海仁美さん

七海仁美さん

 そんな南極・昭和基地で今まさに地球環境の調査や研究を進めているのが第64次南極地域観測隊です。昨年12月24日に南極観測船しらせが昭和基地沖に接岸し、越冬隊員として2024年2月まで南極で任務を続けるのです。  今回はその中で数少ない女性隊員として活躍する、気象庁の七海仁美さんにお話を聞きました!

離島好きが高じて南極地域観測隊へ志願

――南極地域観測隊へは自ら参加を希望したそうですが、もともと興味があったのでしょうか。 七海仁美さん(以下、七海)「離島など都会の喧騒から離れた場所が好きで、最果ての地である南極はいつか自分でも行きたい! と思っていました。また、通っていた東京海洋大学の船・海鷹丸が南極海の海洋観測を行っていたため、身近な人から南極の話を聞けたり、実際にどういった仕事につけば南極観測隊になれるのかイメージしやすい環境だったことも大きいと思います」 ――離島や秘境のどのようなところに惹かれますか? きっかけになった旅行などあれば教えてください。
小笠原諸島父島で撮影

小笠原諸島父島で撮影

七海「大学時代に旅行した小笠原諸島の父島で、海の色や島の風景に感動したのがきっかけです。離島では、都会と違って時間の流れがゆっくりで、その土地特有の文化や手つかずの自然など、自分が出会ったことのない世界が広がっているところに魅力を感じます。父島では帰りの船が出るときに島民のみなさんの盛大な見送りがあるのですが、『さようなら』ではなく、『いってらっしゃい』といって見送るのが印象的でした」

東日本大地震がきっかけで気象庁へ

――大学卒業後は国土交通省の国土地理院で働き、その後気象庁に入られたそうですね。 七海「国土地理院で一番初めに担当した業務が、東日本大地震で被災した福島県相馬市の潮位観測施設に通って観測を行うことでした。国土地理院では、地震による地殻変動の影響を地図にまとめるなど復興に欠かせない役割を担っており、私自身もやりがいを感じていました。そうした中で被災地の現状を目の当たりにするにつれて、災害による被害を未然に防ぐことに自分の力を注ぎたいと感じるようになり、気象庁に入りました」
南鳥島でラジオゾンデによる高層気象観測の様子

南鳥島でラジオゾンデによる高層気象観測の様子

――日本から直線距離で約1万4000キロメートルも離れた南極ではどのような仕事をするのでしょうか。 七海「簡単に説明すると、隊員のみなさんが野外で安全に活動できるよう気象情報を提供します。また、地球温暖化やオゾン層の破壊など地球環境の監視をするために様々な観測を実施します」
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