全11話。2組の夫婦間で繰り広げる不倫を描いた『あなたがしてくれなくても』（フジテレビ系、毎週木曜日よる10時放送）が最終話を迎えた。 　ああ、これで岩田剛典扮する新名誠を見られなくなるのかと思うとつらいなぁ。でもここは平常心で岩ちゃんのラストショットを見つめるしかない。 「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、まさかの新名誠“永久保存チャレンジ”を提案する。 『あなたがしてくれなくても』を毎週見続けた筆者として最大の関心事といえば。吉野みち（奈緒）と新名誠（岩田剛典）との関係性が、不倫か純愛か。最終話なのだから、そろそろこの判断を急がなきゃいけないのか……。 　誰がどう見たってふたりが不倫していることは事実だ。でもそう早々と断定してしまうのもつまらないというか、あながちそうでもないとやっぱり思いたい（切なる願いです）。 　不倫の張本人を演じるのが、我らが岩田剛典なのだ。岩ちゃんの手にかかれば、あら不思議。すべてが浄化される。篠原涼子が裕福な不倫妻を演じた『金魚妻』（Netflix、2022年）が好例だったように、たとえ恥ずべき不倫でも、その瀬戸際で踏みとどまるかのように見事な純愛色に染め上げる。 　ひとまず最終話を見てみる。おお、これは冒頭からすでにヤバいぞ。「2ヶ月後」という字幕。西日が猛烈に照らす夏の夕刻。風鈴と水まきの涼やかな音に導かれるように新名が走る。 「仕事が長引いてしまって」と言って彼が入ったのは、吉野陽一（永山瑛太）が働く喫茶店。陽一はみちに離婚され、新名はフラれている。これは意外な懇親会というわけか。入口で汗をふく新名が「今日は」と聞く後ろ姿。そして「やっぱりアイスで」と言ってカウンター席に座るまでの流れるような動き。 　驚くほどなめらかな演技が積み上げられる。最終話ともなると冒頭から何かが違うのにもかかわらず、岩田はいたってナチュラルに演技する。ここがすごい。演技と演出がピタリと合致する完璧な場面ではないか。