
画像:日本テレビ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』公式サイトより
日テレ系列土曜ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』の九条(松岡茉優)と、2019年放送の日テレ系列日曜ドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』の柊一颯(菅田将暉)がそれぞれに発するメッセージは、どこか似ている。
制作陣のほとんどが共通していることからも、コンセプトが共通していることは自明の理と言えるだろう。
柊が伝えてきたこと、そして、九条が伝えようとしていることとは?『最高の教師』最終回に向けての展開も合わせて予想したい。
9月2日に放送された『最高の教師』7話を見ながら、九条が繰り返し生徒たちに伝える言葉を聞きながら、『3年A組』の柊の声を思い出した。7話では、転落死してしまった同級生・鵜久森叶(芦田愛菜)の死の真相について、九条、そして生徒たちが向き合うシーンが描かれる。
九条は繰り返した。もっとも避けなければいけないのは、勝手な憶測や推測で彼女を語ること。「思う、だろう、違いない……。そんな言葉で彼女を語ることは、言葉を失ってしまった人への冒涜だと思いませんか?」と続ける九条は、いつものように淡々としていながら、発する言葉の一つひとつに念を込めているようだった。
鵜久森の死について、世間は好き勝手なことを言うだろう。学校側も、この件についてどこまで真摯に対応してくれるか怪しい。それでも、この教室の人間だけは変わらなくてはいけない。まずは、この教室から変わるのだ、と訴えかける。
『3年A組』の柊も、一歩立ち止まり、自分の頭で考えをめぐらせることの重要性を説いていた。パワハラ疑惑をかけられた教師を、SNS上で炎上させてやろうと企んだ生徒があらわれたことを機に、「変わってくれ」「悪意にまみれたナイフで、汚れなき魂を傷つけないように」と繰り返していた。
憶測、推測、噂、陰口……。九条の言うように、「人の意見は得てして、そう考えるほうが自然だというほうへ流れていく」ものだ。なぜなら、そのほうが楽だからである。
一歩だけ、踏みとどまってみる。面倒だけれど、一呼吸分だけ、考えをめぐらせてみる。その一瞬の間が、もしかしたら、他者の心を守ることにつながるかもしれない。それがひいては、自分の内なる声に集中し、自分の心をも守ることにつながるはずだ。