90歳・団地ひとり暮らしの女性、長生きの秘訣は「無理をしない」。“いつでも現金主義”のわけは?
「2024年12月に、90歳になりました」そう語るのは、多良美智子さん。
お孫さんとはじめたYouTube『Earthおばあちゃんねる』は登録者数16万人を超える人気ぶり。『90年、無理をしない生き方』(すばる舎)は3冊目の本です。
好ましい人や出来事に囲まれた生活、アクティブでつねに笑顔。憧れのシニアのロールモデルのようですが、多良さんはいたってマイペース。
「私の毎日の暮らしは以前と変わりません」と木漏(こも)れ日のように笑います。
私達とほぼ変わらない日々の暮らしは、決して派手ではなく淡々としたもの。それでも多良さんの目には、一日一日が尊く輝いているのです。
90年、90歳。多良さんの笑顔からは明るい月日しか見えませんが、辛苦を舐めた経験があるのは当然でしょう。
戦争、若くして亡くなったご両親、ご自身の結婚と子育て。特に戦争に関しては、想像を絶する経験もあったに違いありません。
私達はつい「こんなはずじゃなかった」「私はこんなに頑張っているのに」など、不平不満の種を見つけて、自分の中で育てしまっています。
確かに、私達のせいではない、どうにもならない運命もあります。そんな時、多良さんがとる方法はひとつ。
「さっとやめてしまいます」
「気持ちが乗らないなと思ったら、無理にすることはありません」、「あきらめはとても早いです」と多良さん。すべてが自分基準で、自分の物差しがはっきりしているのです。
情報化の社会に生きる私達はSNS上に群がる“他人様”という知り合いに踊らされて、つい“自分”を見失ってしまいます。
私達はもっと自分の人生を謳歌するべきで、その秘訣は「自分の気持ちに正直に、嘘偽りのない素のままの、自然体な自分でいたい」というシンプルな思いを、心に生かすことだけなのです。



