「専業主婦は甘えすぎ」大バッシングの年金改革が“結婚制度”を崩壊させるワケ
6月13日の参院本会議にて可決・成立した「年金制度改革関連法」。政府が成立を急いだようにも見えるこの改正には、パート労働者の厚生年金への加入拡大などが盛り込まれています。その中でも、X(旧Twitter)を中心に注目を集めているのが遺族年金の見直しです。
遺族年金が5年で給付打ち切りになる改正であり、これに対しXでは猛反発の声が殺到しており、専業主婦議論にまで発展しています。
13日に成立した年金制度改革関連法では、遺族年金の条件と給付期間に大きな変更がなされます。遺族年金とは、亡くなった方が年金保険料をしっかりと納めていた場合、その配偶者や子どもなどの遺族が受け取れる年金給付制度です。
この制度は、遺族の生活支援を目的としており、主に遺族基礎年金と遺族厚生年金に分かれています。遺族基礎年金は子どもが18歳年度末になるまで支給され、遺族厚生年金は条件に応じて継続的に支給される仕組みになっています。
今回成立した法案で、厚生労働省は遺族年金の制度を見直しています。見直しの主なポイントは、遺族厚生年金における給付期間を一部縮小する点です。具体的には、2028年から施行され、子どもがいない40歳未満の女性や60歳未満の男性が対象となり、新たに原則5年間の有期給付とし、その間年金額を通常の約1.3倍に増額されます。
一方で、障害を持つ方や収入が一定基準に満たない方は、有期給付終了後も継続して給付を受けられる仕組みを導入します。子どもが18歳年度末までの間は現行制度が適用され、その後5年間は増額された有期給付が加わります。
この改正は、社会状況の変化や公平性を踏まえて制度の効率化を図るために行われると言われております。
今回は「遺族年金が5年になる」という言説が一人歩きして一気に拡散された結果、「子どもが小さい場合でも夫を失ったらすべての遺族年金が5年しか給付されなくなる」という誤解が生まれていました。この部分は誤解であるものの、条件によっては夫を失った女性が厳しい経済状況に陥ることも予想されます。
このため、Xを中心に遺族年金そのものや大黒柱の夫が亡くなった後の妻が働く難しさに関する議論が活発化。「夫が亡くなったなら働けばいい」、「専業主婦は甘えすぎ」といった専業主婦批判へと発展しています。
確かに、大黒柱がいなくなれば働いて稼ぐしかありませんが、この議論には怒りにも近い疑問が巻き起こっているのが現状です。
有名大学を卒業し、新卒で大企業に就職したとしても、結婚や出産、家庭とのバランスなどを理由に退職やキャリアダウンする女性は依然として珍しくありません。共働き家庭が増えたとはいえ、妻が非正規雇用や時短勤務を選ぶことで収入が減るケースも多いです。
夫婦で同量の家事育児を担い、給与も同程度の共働き夫婦が増えているわけではない状況が明らかでしょう。専業主婦であっても、働く母親であっても、女性が仕事をセーブして家庭に集中せざるを得ない場面が多いのが現状ではないでしょうか。
そのような状況で「夫が亡くなったのなら専業主婦を辞めて働け」という意見は短絡的すぎると言えます。
職歴にブランクがある女性が再就職する難しさはもちろんですが、子どもを抱えながら仕事と家庭を両立させなければならない心身の負担などを考えると、専業主婦の中には「社会構造のせいで働けない女性」が存在することを見過ごすべきではありません。

画像はイメージです。(以下同)
注目の「遺族年金見直し」どう変わるの?
「1人親になったのだから働けばいい」という短絡的な意見
このため、Xを中心に遺族年金そのものや大黒柱の夫が亡くなった後の妻が働く難しさに関する議論が活発化。「夫が亡くなったなら働けばいい」、「専業主婦は甘えすぎ」といった専業主婦批判へと発展しています。
確かに、大黒柱がいなくなれば働いて稼ぐしかありませんが、この議論には怒りにも近い疑問が巻き起こっているのが現状です。
有名大学を卒業し、新卒で大企業に就職したとしても、結婚や出産、家庭とのバランスなどを理由に退職やキャリアダウンする女性は依然として珍しくありません。共働き家庭が増えたとはいえ、妻が非正規雇用や時短勤務を選ぶことで収入が減るケースも多いです。
夫婦で同量の家事育児を担い、給与も同程度の共働き夫婦が増えているわけではない状況が明らかでしょう。専業主婦であっても、働く母親であっても、女性が仕事をセーブして家庭に集中せざるを得ない場面が多いのが現状ではないでしょうか。
そのような状況で「夫が亡くなったのなら専業主婦を辞めて働け」という意見は短絡的すぎると言えます。
職歴にブランクがある女性が再就職する難しさはもちろんですが、子どもを抱えながら仕事と家庭を両立させなければならない心身の負担などを考えると、専業主婦の中には「社会構造のせいで働けない女性」が存在することを見過ごすべきではありません。
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