やっておいてよかったこと、2つめは「お料理」だそうです。

シャロー家のダイニング『100歳までパリジェンヌ』より※
「それから、お料理が好きということは、本当によかったと感じる数カ月でした。美食の街なので、カフェやビストロ、レストランなど、おいしいお店はたくさん。お料理が苦手という人や、夫婦だけの暮らしになると、食材を無駄にすることも多いと、キッチンには、もうほとんど立たないという知り合いも周りにはいます。
今回、お店がすべてクローズして、家での生活を余儀なくされ、『本当に毎日の食事が苦労!』と聞きました。買い物に行く回数もかぎられ、冷蔵庫にあるもので食卓を整えるのが大変で、すごく痩せた!とか、偏った食生活で恐ろしく太った!という声も、耳にしました。私の場合は、昔からお料理が大好きなので、おかげさまで、まったく苦にはならず……。むしろ、難しいお題を与えられると闘志が湧くタイプなので、あるものを使いまわして変化をつけるというのは、楽しいものでした」
フランスには、なんと「薄切り肉」がないそうで、こんな微笑ましいエピソードも。
「新刊の中で書いたのですが、なぜか牛肉や豚肉の薄切り肉というものがフランスにはありません。私はなじみのお店と、ああでもない、こうでもないと、互いに試行錯誤を繰り返し、日本のようなスライスをお願いできるようになりました。お手間をかけるので、いつもかなりの量をまとめ買いします。
本を読んでそれを知った日本人の友人たちから、『弓さん、薄切り肉、できれば少しわけていただけないかしら? あると本当にレパートリーが広がるから』と、多数のお声がかかりました。思わぬことで、みなさんのお役に立てて、ちょっとうれしく、ちょっと自慢の出来事でした(笑)」
好きなものを作る「手仕事」で、いつだって楽しい時間に
そして3つ目は、「手仕事」。ステイホームにはぴったりですね。

母校のバザー用にと、30本も作ったミニスカーフ
「手仕事を、ずっとやっていても飽きないということ。アクセサリーを作ったり、縫物をしたりする時間が本当に楽しくて、至福の時。日本の母校で年末にバザーがあるのですが、今年はチャリティーで手作りのものを出品しようと決めていて……。ですから、せっせとネックレスやラリエット、ミニスカーフを作りました。
外出できないので、手持ちの材料をまさに在庫一掃の勢いで放出しました(笑)。作りながら、ここはもっとこうすると素敵かも!とか、使いやすいかも!と、いろいろ考えるので、思考力、想像力とフルに頭を使います。ステイホーム前に整理整頓に励みすぎて、腕を骨折していたのですが、そのリハビリにも。手仕事の楽しみがあるというのは、こういうときに本当にありがたいことだと感じました」

こちらも母校のバザー用にと、作ったラリエットとネックレス
30本も作ったミニスカーフは、生地は同じでもビーズやレースなどの飾りを変えた、まさにオンリーワンのスカーフ。また、40本作ったラリエットとネックレスも、1本として同じものはないそうです。