「選考を通過したシッター」だからと過信できない現実
楠木さんは「まさかあんなことをする人たちがシッターをしているなんて夢にも思っていませんでした。
プロフィールの感じも良く、評価も満点だったのに……」と当時を振り返ります。(以下、「」内引き続き楠木さん)

シッターに依頼する前には、レビューの評価やプロフィール、条件をくまなく読んで検討したという楠木さん。おそらく、多くの親が同じようにすることでしょう。しかし、“内閣府認定”※の事業者である、選考を通過したシッターである、レビュー評価が高い、といった情報を過信すべきではないことが、逮捕に至った2つのわいせつ事件からもわかります。
※内閣府ベビーシッター派遣事業割引券利用の取扱事業者として認定されていることを指す。
もちろん、
わいせつ事件の被害にあった方に、なにか落ち度があったということでは全くありません。また、行政や業者が変えるべきことは多々あります。
ただ、当面マッチング型でシッターを依頼するしかない場合、どうすればリスクを減らせるでしょうか?
1. シッターの選考基準や教育はしっかりしているか?
「以前お願いしていたシッターさんが、キッズラインでは10分ほどの面接でシッター登録ができた※と話していたことがあります(※2019年以前)。採用基準に加え、シッターの育成・管理という点でも違和感を感じました。採用したらしっぱなしで、その後シッターとして働く上での育成や管理は全く行っていないんだな、と思いました」

シッターの採用基準や研修内容は事業者ごとに大きく異なります。「内閣府認定の事業者だから」と安心せず、きっちり自分の目で確認を。慣れないうちは“保育士経験◯年以上”などの条件を必須にしても良いでしょう。
ただし、6月にわいせつ事件で逮捕されたシッターは保育士など複数の資格を持っていたわけで、資格も100%安心とは言えません(もっと言えば、保育園や学校でもわいせつ事件は多発しているわけです)。
また、時間も追加料金もかかりますが、
シッターとの事前面談はできる限り実施を。その時にもし“違和感”を感じたら、自分の直感を信じたほうが無難。
厚生労働省も今年6月に改訂した「
ベビーシッターなどを利用するときの留意点」の中で、「
マッチングサイトを通じて依頼する場合には、事前に必ずベビーシッターと面会し、信頼に足る人物かどうかを確認しましょう」と事前面会を強く推奨しています。
なおキッズラインでは冒頭のわいせつ事件を受けて、新たに適性テストを導入するなど、より厳しい基準を設けていくと発表しています。
レビュー評価が低いシッターを避けるのは当然ですが、全体のレビュー評価が異様に高い場合は、「
この事業者のレビューは機能しているだろうか?」と疑問を持つことも大切です。
そもそも
、評価しているのは子ども自身ではなく、保護者等が“間接的に”判断しているにすぎません。わいせつ事件を起こしたシッターもレビュー評価は高かったということを念頭に、レビューは明らかなマイナス要因を探る程度のもので、安心材料にはならないと思ったほうがよさそう。
キッズラインでは、シッターのレビュー評価で、事実と異なる内容が記載されているとの指摘も問題になりました。保育の研修を行う「ママトレーナー」に最高評価の「5」を依頼し、実際には行っていない(ロールプレイング上の)保育内容をレビューに書くかせるなどしていたと、同社は自社HPで今年7月1日に経緯説明しています(現在は該当のレビューを削除済)。