脳梗塞で倒れた夫にがんまで発覚。病室で“夫の切ない一言”に号泣
筆跡アナリストで心理カウンセラーの関由佳です。ある日突然、脳梗塞を発症した夫。人生初の入院で、夫婦ともにすぐに現実を呑み込めないでいました。
【脳梗塞を発症した話】⇒大げんかした翌日に夫が脳梗塞を発症。病との闘いが始まった日
とはいえ、3日間放置したにもかかわらず特に大きな後遺症もなく、1週間程度で退院できるだろうと思われていました。「これからは生活習慣をもう少し考え直そうね」と言い合って、10日が経った頃。脳梗塞を再発してしまったのです。
主治医たちが原因究明に焦る中、最悪の事態に絶望感を味わった私たちですが、この先にさらなる絶望が待っているとは思ってもみませんでした。今回は、重病を告知されたときのことをつづってみたいと思います。
2度目の脳梗塞で、夫はついに右手と右足が自由に動かせなくなり、さらに失語症がひどくなって、ほぼ言葉も出なくなりました。一時は退院できると浮足立っていただけに、私以上に彼のショックは相当のものだったはずです。
しかし彼は現実を受け止め、食事は左手でスプーンを使い、鉛筆も左手で持って筆談をして意思疎通をするように。私もどうにかシンプルにコミュニケーションが取れるよう、こっくりさんのように五十音を紙に書いて文字を書かずに指差しできるようにしたり、LINEはスタンプだけでやり取りできるよう使いやすいスタンプを集めたりと工夫をこらしていました。
そんな中、なぜか唯一言えたのが「すいません」という言葉。「すいません」は便利な言葉で「ごめんなさい」と「ありがとう」という意味合いにもとれるので、夫は言葉に詰まると何事にも「すいません」と言っていました。
そんな五里霧中な毎日を2週間ほど過ごしながらさまざまな検査をしましたが、やはり原因は全くわからず……。いよいよ脳や心臓だけでなく、全身をスクリーニングすることになり、体全体の不調を探すことになりました。
そして入院してから約1か月後。ついにその時が来たのです。
突然看護師さんから「奥様だけちょっといいですか?」と呼ばれ、主治医のいる部屋に連れていかれました。これはただ事ではない、という雰囲気を感じ、恐る恐る主治医の前に座ると、目の前のパソコンには夫のCTの画像が。
そして、神妙な顔つきをした主治医にその画像を見せられながら、夫の脳梗塞は、肺腺がんによるものであろうことを告げられました(厳密に言うと、このときはまだ細胞組織の検査をしていないため確定ではなかったのですが、99%悪性腫瘍だろうと言われました)。大変めずらしい症例で「トルソー症候群」というそうです。
(編注:「トルソー症候群」とはがんの合併症の1つで、悪性腫瘍によって血液が固まりやすくなったり過度に凝固したりして、脳卒中症状を生じる疾患です)
私としては「そんな……!」という衝撃と、なぜか「やっぱり」という納得感が両方あり、何とも複雑な思いを抱えながら、なんとか冷静を装い主治医の話を聞いていたのですが、そのときに主治医から厄介な提案を受けたのです。
再発で後遺症が悪化……。生活に工夫を凝らす日々
脳梗塞の原因が判明、告げられた病名は…

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