「あなたの話をしてください」
これほどまでに難しいテーマはない。だけどひとつ言えるのは、私は母親が原因で曲がりくねった軌道になった人生を、どうにかこうにか修正してここにたどり着いた、ただの女である。
だけどその曲がりくねった軌跡のことを文章にしたら、なんだか「面白い」って褒めてもらえたもんだから、それを書いて、生きている。
それは時に辛い仕事ではあるけれど、自分の通って来たすべての道に意味を持たせるような作業だから、私は今の仕事を、気に入っている。
ああ、そうだ。「親」についてのコラムはわりかし多く書いていて、答えを求められることも多いから、今回のコラムとは関係ないけれど、少しだけそこについて、私なりの答えを書いておきたいと思う。
「親と子」なんてものは、ただの偶然の巡り合わせである。そこに、特別な意味などない。
大切にするもしないも、その関係性の中で決めれば良いのであって、「血が繋がっているから」という理由だけで、一生涯その人に縛り付けられる必要なんて、ない。
私は18で家を出て、もう10年ほどがたった。あの時に家を出てから、右手で数えるほどしか、家族には会っていない。
だけど私は、幸せなのだ。そして離れることで、一人で人生を切り開くことで、いつのまにか、母への恨みも消え、今は一人の人間として、ただ静かに、同じ時代を生きている。
それで良い、それで良いと思う。
許すとか、愛するとか、そんなことはどうだっていい。自分のことだけを考えて、ただ、生きるのだ。
人生なんて、死ぬまでの暇つぶしだ。なんて言葉は使い古されているけれど、だけどやっぱり、その通りだなって、そう思う。
自分のことは自分で決めて、ゆっくりと、ゆったりと生きる人が増えて欲しい。私が伝えたいのはいつも、そんな、当たり前のことだ。
<文/yuzuka>
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