「こんな感じで私たちは一生いってしまうのかもしれない」
「彼は私が携帯を見たことについては全然、責めないんです。ただひたすら『ごめんなさい、ごめんなさい』と土下座。なんだかね、もうバカバカしくなってきました」
バレると彼はまたおとなしくなり、娘と妻に尽くす日々が続く。だが、いつかまた浮気をしてそれが発覚する日が来るのだろうと彼女は思っている。
「浮気を繰り返す男だとわかっていたら結婚はしませんでした。独身時代は細心の注意を払っていたんでしょうけど、結婚したら安心したのかうっかりバレた。一度バレたら、今度はもっと注意をしなくなった。そういう男なんですよね、きっと」
それは妻に甘えているともいえるのだろう。
「一緒にいるとやはり楽しいので、なんかもう最近は、こんな感じで私たちは一生いってしまうのかもしれないとあきらめかけています。
彼にそう言うと、『金輪際(こんりんざい)、浮気はしない』と言う。でも前もそう言ったよねと言うと、でへへみたいな笑い方をして。腹が立つんだけど見捨てるにはもったいない。そんな気分なんですよ(笑)」
許せるわけではないが、許されていると夫は感じているのかもしれない。こういう調子のいい陽気な男は確かに浮気者である可能性が高い。結婚前にそのあたりはじゅうぶん注意が必要だ。
だがそれを除けばいいヤツなんだけどなあと思う場合は、「結婚後の浮気は禁止だからね、したら離婚だからね」と大きな釘(くぎ)をぐいっと刺しておいたほうがいいのではないだろうか。
―シリーズ「
結婚の失敗学~結婚観・家族観すり合わせの失敗」―
<文/亀山早苗>
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