Lifestyle

これってDV?と思ったら…よくある3つの被害事例。DV被害者にも特徴があった

DV被害者に共通する3つの傾向

 DVはもちろん加害者側に大きく問題があるのですが、関係性の根本には共依存があります。つまり、被害者にも相手に依存したり、相手の行為を容認して助長してしまう“種”を持っていることが多いです。
イラスト待ち

※写真はイメージです(以下同)

 だから被害者にも原因がある、と言いたいわけではありません。ただ、被害に遭われている方の気質にDV関係になりやすい傾向があるなら、気づくことで解決策を探していけます。ここではDV被害者に共通する、3つの性格傾向を教えてもらいました。 ・口ごもるタイプ ・尽くすタイプ ・インドアで内向的なタイプ 「私もそうでしたが、被害者になる女性に共通していることは『夫(パートナー)のお世話をすることで自分の存在意義を見出そう』という気持ちが強い傾向にあります。私も、当時は夫と離れたら自分には何も残らないのではないかといった、自己肯定感の低さがあったんです。夫から逃げたいのに、同時に『私が突然消えたら、夫は明日からどうするんだろう』と、逃げたい相手の心配をしてしまう。今思えば、こういった感覚が相手への依存心として、DV関係に発展する構図を生み出していたのかもしれません』(亜衣子さん)

人がDVをしてしまう理由

 エフエフピーでは、加害者と被害者、どちらに対しても“悪者”という定義をしません。それはDVの根本には、相手に自分の存在価値を求める共依存の気持ちが強くあるからだといいます。 「人がDVをする理由にはいくつかありますが、1つは依存の心があるからです。もう1つは、やはりまだまだ強く残るジェンダーバイアスです。『家事や育児は女性がするもの』『外で働く男が偉い』といった、自分の方が頑張っている、たくさん稼ぐ方が偉い、などの上下関係を生み出す考えがあると、DVに発展しやすいです。
家事

家事・育児は女性の仕事で、外で稼ぐ俺の方が偉いという考えの男性も…

 逆に女性がDV加害者になるパターンも、『男のくせに稼ぎが少ない』『家事においては自分の方が優れている』という意識から、夫(パートナー)をバカにしたり否定してDV関係に発展していきます。またこれはDV当事者に限りませんが、多くの人が『感情は外の出来事によって勝手に引き起こされる』と思っています。つまり、怒りや悲しみが湧いたらコントロールするのは無理と思っているんです。  しかし私達がプログラムに取り入れている『選択理論心理学(※)』では、そうは考えません。全ての感情は自分の内側で選択することにより起きるとされています。感情の取り扱い方を知っていくことで、ネガティブな感情もDVに発展させることなく付き合っていけると考えます」(拓さん) (※)選択理論心理学…アメリカの精神科医ウィリアム・グラッサー博士によって1996年に提唱される。私達は日常から受ける刺激(外的要因)に無自覚に反応するのではなく、欲求を理解した上で選択してくことを学び、良い行動習慣を根付かせていくという方法論。

DV当事者にできること

 最後に、自分がDV被害者&加害者かもと思ったら、当事者にまずできることはあるかを聞きました。 「正直、当事者間で解決するのは難しい」「私たちも自分たちでどうにかしようとした時期もありますし、エフエフピーに参加して頂いている方々にもそういう努力をされた方は一定数います。でも、少し改善されたと思ってもまた元に戻ることを繰り返し、結局は更生プログラムを受けることになる経緯を辿っています」ということから、改めてDVの対処法の難しさを感じます。既に支配とコントロールの関係が成立している以上、それを当事者間で対等な関係に戻すのは困難ということです。  悩みの程度によって緊急度や対処方法も様々です。少しでも「おかしい」と思ったら、適切な専門機関などを頼りながら、対処していければと思います。 【話を聞いた方】 一般社団法人 エフエフピー 代表 中川拓さん、亜衣子さん 選択理論心理学をベースに人間関係修復の手伝いをする一般社団法人。過去のDV加害者/被害者の関係を乗り越えた夫婦が実践するDV加害者更生プログラムはおそらく日本唯一? オンラインと対面の両方でプログラムや面談を実施している。 <取材・文・イラスト/おおおしまりえ>
おおしまりえ
コラムニスト・恋愛ジャーナリスト・キャリアコンサルタント。「働き方と愛し方を知る者は豊かな人生を送ることができる」をモットーに、女性の働き方と幸せな恋愛を主なテーマに発信を行う。2024年からオンラインの恋愛コーチングサービスも展開中。X:@utena0518
1
2
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ