そして葬儀当日。子どもたちは遠慮してか、親族席でない一般参列者の方にそれぞれで着席。棺に遺品や花を入れる段階になったところで、子どもたちを棺の方へ呼び寄せました。

実は、葬儀の前日に夫の手帳の中から子どもたちからもらったと思われる手紙を偶然発見。夫は毎日大事に持ち歩いていたのだな、と思うと同時に、それぞれからもう一度夫にこの手紙を渡してもらおうと思いつきました。
「これ、覚えてる?」と手紙をそれぞれの子どもたちに返すと、みんな堰を切ったように一斉に泣き崩れ、「パパ……」と夫の亡骸へ呼びかけるように。少しでも夫の子どもたちへの愛情が伝わったらいいなと思いながら、私ももらい泣きしてしまいました。

それから私は子どもたちに積極的にお花を棺に入れるように促して周り、その様子はもはや「おせっかいおばさん」そのもの。しかし、なんとしても子どもたち自身の手で夫を送る準備をしてほしかったので、彼らの手にお花を載せ続けました。
そして出棺し、火葬場での待ち時間。親戚たちは子どもたち同士がどう接するのか不安を抱いていましたが、5人は驚くほどナチュラルにテーブルについて挨拶をしていました。それぞれの父親の思い出を語り、「
わかる! パパそういうところあったよね」といった和やかな会話が交わされ、途中から私も交じってさまざまな思い出話に花が咲きました。