いてもたってもいられず、思わず家に押しかけます。
「朝なら在宅しているはずと思い、家に行きました。郵便受けの中に手を入れ、封筒の宛名を見て、引っ越していないのを確認しました。扉の向こうから、ガサゴソと生活音が聞こえてきたので在宅とわかり、家のピンポンを連打しました。でも出てこないので扉をノック。強く押しすぎたのか、家のピンポンが壊れたみたいで、しばらくなり続けて、彼が中から出てきました」
まるでオカルト映画のゾンビ並みに彼を追い続けた香澄さん。そこまでして、どうしたかったのでしょうか。
「どうしても復縁したかったんです。寝間着姿で、寝ぐせも着いた状況で彼が出てきて『もうやり直せない。新しい彼女ができた』と言われました。でも、納得ができなくて『私の方が彼女よりもあなたを好きなはず』と言ったら、『やってること犯罪に近いし、ストーカーだよ』とビシっと言われました」
よく勉強やスポーツでは「諦めないこと」が美徳に語られますが、香澄さんの場合は、誰が見てもかなわぬ恋愛。なんとか現実を受け止めないと、さらに悪いことが起きそうですが……。
「周りの友人も『仕事とか、ほかのことに目を向けなよ』って心配してくれています。元カレとは別れて1年が経ちますが、夜、寂しくなるとLINE占いで復縁できるかを占ってもらったりしています。この前もつい3000円ほど使ってしまいました。
でも占いの結果は『復縁はない』、『距離を置きましょう』なんです。それを信じて、今度は新しい出会いを期待しながら、今はNintendo Switchで『あつまれどうぶつの森』で遊んだり、映画を観たりして時間をつぶしています」
アウトドアではなくインドアな余暇を過ごして、元カレを忘れようとしているという香澄さん。コロナ禍で人と会えないため、元カレへのストーカー癖が治まっているそうです。このまま忘れられることを願っています。
<取材・文/阿佐ヶ谷蘭子 イラスト/とあるアラ子>