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一条ゆかりら少女漫画界レジェンドの裏話を『純情クレイジーフルーツ』松苗あけみが語る

少女マンガをディスっている気持ちがあった『純情クレイジーフルーツ』

松苗あけみ『純情クレイジーフルーツ』オフィス漫

松苗あけみ『純情クレイジーフルーツ』オフィス漫

小田: きたがわ先生が『純情クレイジーフルーツ』を読んだ時の感想をうかがえますか? きたがわ: 当時松苗先生のような伝統的で正統派な絵柄の漫画家は比較的みな外国もの、いわゆる憧れの世界を描かれていたと思うのですが、すごく身近なマンガを描いて、なおかつ誌面が華やかでした。あと、一重まぶたの女の子が新しかったです。絵柄は伝統的なんですけど、描き分けがうまいと思いました。 松苗: 一重は、つりたくにこ先生の影響なんですよ、『ガロ』などに描かれていた。『純クレ』は主人公が4人もいるから、髪の白黒だけで区別するのはやめようと思いました。あと、高校生のプレイボーイで童貞はありえないだろうって、当時にしては過激にしたり。実は少女マンガをディスっている気持ちがありました。 小田: 男性編集者の思いこんでいる女子高とはまったく違う、リアルな姿を描いたのがよかったんですね。 きたがわ: 一条先生とか内田先生とか、まわりの方がすごすぎて、その影響を受けて大人っぽいものを描こうとしたけれど、最終的に一番身近なものを描いた。それが成功につながったんだと思います。

キャラクターがモノローグで話す『鬼滅の刃』は少女マンガ的?!

少女マンガ研究家・小田真琴さん、マンガ家・松苗あけみ先生、マンガ家・きたがわ翔先生。

松苗さんのカラー原画を見ながら盛り上がったトーク

小田: 松苗先生は、最近のマンガをお読みになりますか? 松苗: 『鬼滅の刃』を読んで、この方すごいと思いました。血と汗と涙と家族愛がありました。 きたがわ: 『鬼滅』は少女マンガともとれます。きっと矢沢あい先生の『天使なんかじゃない』を読んでいたと思います。キャラクターがモノローグで話すのも、少女マンガなのかなと。 小田: フラッシュバックの使い方も少女マンガ的ですね。 きたがわ: 今、女の子の読者って、恋愛よりは、友情やアイドルに寄っていっています。炭治郎と禰豆子が恋人だったら、ここまでヒットしなかったと思いますよ。 松苗: 姪の子どもが2歳なんですが、「ねずこが好きなの」って言ってました。すごい影響力ですね。そう、吉野朔実さんの『記憶の技法』が映画化されたのが、うれしかったです。少女マンガもいい作品、いっぱいありますよ!
松苗あけみさんのカラー原画(画像:きたがわ翔さんTwitter @kitagawa_sho より)

松苗あけみさんのカラー原画(画像:きたがわ翔さんTwitter @kitagawa_sho より)

マンガ家・松苗あけみ先生小田: もちろんです。松苗先生の次回作も待っています。 きたがわ: あと、原画展をやってほしいです。紙の原画は、デジタルじゃ絶対出せない色合いがあるんで、いろんな人が見られる機会があったほうがいい! 松苗: 最近ずっとひっそりしてましたけど、求められるのはありがたいです。がんばります。
松苗あけみさんのカラー原画(画像:きたがわ翔さんTwitter @kitagawa_sho より)

松苗あけみさんのカラー原画(画像:きたがわ翔さんTwitter @kitagawa_sho より)

<取材・文/ぶんか社『本当にあった笑える話』編集部 写真/榎本壯三>
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