――逆に「自分、全然変わってないな」と思うところはどこですか?
高良「うーん。自分では変わったなと感じる部分のほうが多いんですよね。でもそういうものだし、変わっちゃったことを否定するのも嫌だし。あ、でも熊本を好きなことは変わってないです。地元の景色とか、阿蘇山が好きだったり、スーパーで熊本産のものが売っていたら買っちゃう(笑)。そこかな」
――本編では、お年寄りたちが、自分が大切にしている場所やシチュエーションで「おもいで写真」を撮ります。高良さんが、現時点で「おもいで写真」を撮るなら、どこで撮りたいですか?
高良「やっぱり熊本です。もう東京のほうが長いんですけどね。
まだ何者でもなかった、ただの学生だった頃に、よく集まっていた河川敷で撮りたい。なんってことのない河川敷なんですよ。でも自分にとっては大切な場所です」
――一郎は地元で就職し、結子は一度東京へ出ました。高良さんは、ご自身の上京という決断をどう振り返りますか?

『おもいで写眞』より
高良「出てよかったと思っています。上京してよかった。だけど地元に残ったら残っていたで、絶対に楽しんでいると思う。というか、
10代20代の頃は、上京した“せいで”こんなことを思ってしまう、感じてしまう、という思いが大きかったんです。
でもいまは、“せいで”ではなく、“おかげで”と言える。本当にいろんな価値観に触れられて、いろんな世界を見せてもらっています。もし地元に残っていたら、結婚をして子どもがいるかもしれない。それでも楽しんでいた自信があるけれど、今は、上京しても楽しめる自信がつきました。最近ですけどね」