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松坂桃李が“ハロプロ”オタクを演じる『あの頃。』監督×原作者が語る

ホモソ集団から男女半々に変化したハロオタ現場

あの頃。

©2020『あの頃。』製作委員会

――当時と現在のオタクの違いってありますか? 劔:まず、女性が多くなりました。この映画で懸念しているのが、男性オタクによるホモソーシャル(女性を排除・消費して成り立つ男性同士の絆)な関係性がどう受け止められるかということ。  でも、当時は本当に女性がいなかったので仕方ない部分もあるんです。コンサート会場に行くと、ドアを開けた瞬間に男性特有の“臭気”がブワッと、まるでバックドラフトみたいにやってきたんで。  今だったら、あのメンバーの中にも女性がいたでしょうね。 今泉:エキストラはハロプロ公式サイトなどで募集してもらったんですが、女性の方が多く集まってしまって。それだと、当時の実態とズレちゃうから、ちょっと遠めで写ってもらったり、バランスは取らせてもらいましたね。 ――ほかに意識したポイントは? 今泉:僕自身が“若い男が内輪ノリで盛り上がってる”シーンを映像で見ると興ざめしちゃうことがあるんです。だから、現場では面白いと思っていても、後で見たとき観客が置き去りにされないかは気にしていましたね。  でも、実際見てみたら役者さんも20代後半以上の達者な人たちだから、どれだけ盛り上がっても切なく見えるっていう。「あ、なんか大丈夫だ。ただのおっさんたちだ」と思って(笑)。 劔:実際の我々も大人になってからの友人なんで、互いに敬語を使ったり、“さんづけ”で呼んだりと、決して馴れ馴れしいだけではなかったですから。

’90~’00年代の空気感がしっかりと出ている

――時代設定的にも、劔さんのようなアラフォー世代は共感できそうですね。 劔:その世代で、原作当時からいまだに熱心にハロプロファンやってる人は結構いるんですよ。ハロプロに限らず、’90~’00年代の空気感がしっかりと出ているので、それを懐かしんでもらえるといいなとは思います。 今泉:劇中に「昔がいいって言う人もいるけど、俺は今が一番楽しい」みたいなセリフがたびたび出てくるんですよね。あの頃はあの頃のよさがあったけど、決して美化はしたくないというか、懐古主義になりすぎない映画にしたいとは思っていました。 劔:この前、人と話していて「俺、懐かしめるようないい学生時代を送ってこなかったよ」と言われて。確かに、昔が全部よかったわけじゃない。映画でも、AV女優の握手会に行った話とか、仲間の風俗でのエピソードとか、まったく美化してないですから。  改めてそう考えると、ハロプロのメンバーも見るかもしれないこの映画で、なんていう原作を僕は描いてしまったのかと後悔に襲われています(笑)。 『あの頃。』 ’21年/日本/1時間57分 監督/今泉力哉 原作/劔樹人 出演/松坂桃李、仲野太賀、山中崇、若葉竜也ほか 配給/ファントム・フィルム 2月19日より全国公開 【今泉力哉】 ’81年、福島県生まれ。’10年『たまの映画』で長編監督デビュー。『愛がなんだ』(’19年)、『mellow』(’20年)、『his』(’20年)など恋愛映画に定評がある。公開待機作に『街の上で』(4月9日公開) 【劔 樹人】 ’79年、新潟県生まれ。「神聖かまってちゃん」のマネジメントなどを経て、現在「あらかじめ決められた恋人たちへ」のベーシスト。最新刊に『僕らの輝き ハロヲタ人生賛歌』(イースト・プレス)
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劇中に登場する初期ハロプロのキラーチューン3選
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