Nさんに近づき、サッとマスクをはぎ取る茉莉子さん。
「その見覚えのある汚れは、どう見てもファンデーションでした。マスクの表面にこんな風につくなんて、直感的に『あ、Nは女とキスしてきたんだな』と思い、問いただしました」
しらばっくれるNさんにイライラした茉莉子さんは、Nさんのお尻のポケットからスマホを奪い、中身を見ようとしました。
「すると鬼の形相でNが追いかけてきて、スマホを取り返そうとして、それを私が阻止して揉みくちゃの奪い合いになって」
そして茉莉子さんからスマホを奪い取ると、ベランダに走る夫。
「私もすぐ追いかけてNの右手をつかもうとしたら、Nが思いっきりベランダからスマホを外に投げたんですよ! マンションの7階からですよ? そんなに見られたくない何かがあるんだなと思いました」
ですが、もしかしたらスマホが壊れていない可能性も無いことはないと思った茉莉子さんは、あわててサンダルをつっかけエレベーターに飛び乗りました。
「後ろからNが追いかけてくる気配がしたので、きっと階段からくるなと思いました。もちろん私の方が先に1階に着き、落ちているスマホに駆け寄りホームボタンを押しましたが…残念ながら画面は真っ暗なままでした」
息を切らした夫が茉莉子さんに近づき、スマホを奪い、壊れている事を確認すると…。
「Nは『よっしゃー』って言ったんですよ。それってもう“自分は浮気しました”って言ってるも同然ですよね」