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ママの愛が足りない? 「根拠ナシ育児論で自分を責めないで」と小児科医

相談先は複数あるといい

――それでも、母親を神聖視するような話がふいに目に入ってしまい、悩んでしまうお母さんもいるように思います。そのときはどうすればいいのでしょうか。 森戸:誰かに質問してみることです。まずは身近な人がいいと思います。例えばお父さんに相談してみる。おばあちゃんに「私を育てるときにどうしていたか」聞いてみる。どうしてもネット等を見ていると視野が狭くなってしまいます。「そんなバカな」と思うことでも悩んでしまうことがあります。そういった、ちょっと困ったときに話せる人、場所が複数あるといいでしょう。 ――複数ということですが、家族以外にどこか頼れるところはあるのでしょうか。 森戸:例えば、育児でうつに近い状態になると、誰に聞いたらいいか分からなくなるかもしれません。そんな場合は保健所に「育児で行きづまっています」と電話をしてみてください。適切な相談場所を見つけてくれたり、ちょっと話をしにこないか、と言ってくれることもあるでしょう。小児科医でももちろんいいです。  相談することはなんでもいい。例えば「虐待しそうです」みたいなことでもいいんです。事前に相談してもらえれば力になったり、お母さんに休養を取ってもらうこともできます。また、見ていて個人的にいいなと感じたのが、ある方たちのTwitterの使い方です。ハッシュタグの「#夜泣きつらい」をのぞいてみると、今まさに同じ悩みを持つ人がいつもいることが分かります。  それ以外にも、毎日新聞の『ツイッターが救う「孤育て」「夜泣き小屋」に集う』という記事では、ハッシュタグに子どもが生まれた年と月を入れると、同じ月齢の子どもを持つ親のつぶやきがたくさん出てくるという話も紹介されています。同じ悩みを持つ方の存在を知って、「つらいよねぇ」「ほんとだよねぇ」と悩みを共有する場があるだけでも違うと思います。

健診で「お父さんはあっちへ」というケースも

父親 病院――母親に責任、義務を押し付けるような論調はもちろん問題ですが、お父さんが育児に参加したいのにできない、その結果お母さんが一人で育児をやらなければいけない場合もあるのではないでしょうか。 森戸:お父さんが仕事が忙しく、やっと帰っても寝顔しか見られないという話も聞きます。他意がなくても、お母さんにまかせきりになってしまうことはあるでしょう。 そして社会の中にも依然として、お母さんが一人で育児をするもの、という考えの方が大勢います。乳幼児健診に行くと「お父さん、会場が狭いんであっちに行ってくれますか?」と言われた方もいました。失礼な話です。だから、お父さんが「自分は求められていないのでは」と孤独感を感じてしまうこともあるでしょう。 ――お父さんが一人で子どもの面倒を見ていたら怪しまれたり、通報されてしまった、なんて話を聞くこともあります。 森戸:コラムニストの犬山紙子さんの旦那さんの劒樹人さんが、以前、新幹線でわんわん泣いている我が子に一人で対応していたら、誘拐を疑われて警察に通報されてしまったという話をnoteに書いていました。  でも本来であれば、何も問題の無いことです。もちろん、犯罪ではないか、と心配する目はありがたいです。ただ、お母さんと同じようにお父さんも応援してもらいたい。
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子どもは貴重な“社会の財産”
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