昨年夏、ゴキブリの駆除依頼は前年同期比で238%も増加したというが(
「くらしのマーケット」調べ)、この冬はどうか。 ゴキブリ駆除サービスを手がけるダスキンの広報担当者は言う。
「本来、冬場はゴキブリのシーズンではありませんが、ご家庭からのゴキブリ駆除サービスのご依頼は、前年同期比で確かに増えている印象です」と明かす。
さらに、アース製薬も「昨年のゴキブリ用商材の売上高は、前年比で111%増加した」(広報担当者)としている。
コロナ禍で、在宅時間が長くなったことで、ゴキブリと出くわす機会が増えていると見ることもできる。
しかし、それだけではなさそうだ。アース製薬生物研究課の課長で、試験用ゴキブリの飼育員でもある有吉立氏はこう話す。
「コロナ禍で在宅時間が長くなり、冬場でも一日中、屋内の温度と湿度が一定以上に保たれている状態になっている家庭も多いと思います。これは人間だけでなく、ゴキブリにとっても快適な環境。
本州の家屋にいるゴキブリで最も多いのはクロゴキブリですが、通常冬は休眠しています。しかし、この冬は一日中温暖湿潤な家屋で、活発に活動している可能性もある。
彼らにとって幸いなことに、自宅は以前より食料もたくさんありますから。この冬にはクロゴキブリの卵が季節外れの孵化をしたという話も聞いています」
彼らがコロナ禍で活発に繁殖する要因はほかにもある。ステイホームでは、通販の段ボール箱がたまりやすいが、それらが彼らにとっては快適な“子育て場所”となっているというのだ。
「段ボール箱の厚紙の波状になっている断面の隙間に、ゴキブリはよく産卵するんです。段ボール箱が家にたまっているというご家庭は、早めに処分されることをおすすめします」(有吉氏)
さらにコロナ禍でブームとなっている観葉植物やペットも、ゴキブリを引き寄せているという。植木鉢にたまった水や、鶏糞などの有機肥料の臭いはゴキブリを引きつけるからだ。
ゴキブリにとっての好条件が整うなか、これまでは家屋で目撃例が少なかった種も、見られるようになってきたという。
「もともと九州南部や沖縄に生息していたワモンゴキブリは現在、東京や大阪の都市部の地下街やビルに生息しています。また、チャバネゴキブリは飲食店が入っているマンションでは侵入する可能性もありますが、普通の一般家屋やマンションへの侵入例は稀です。クロゴキブリは孵化から成虫になるまで1年以上かかりますが、チャバネゴキブリは2~3か月で成虫になります」(同)