素敵な人以外からかけられた言葉なんて、どうでもいい
yuzuka:ありがとうございます。本の中に「素敵な人以外にかけられた言葉なんてどうでもいい」という言葉を書きました。これって一見あたりまえのことなんですが、すごく大切で、だけどそう思うことが難しいと思うんです。でも、私は人生の中で、この考えを本当の意味で習得できたのはすごく大きなことだと思っていて。というのも、一時期ものすごく誹謗中傷がたくさん来た時期があったんですね。とくに容姿にまつわることだったんですけど、生まれつき持っていた部分を攻撃されるって、すごく辛いんですよね。
私はその状況で自殺も考えたし、中傷を受ける原因となった顔も整形しました。でも、整形した顔をのせても、ある掲示板で、5000件ほどの誹謗中傷が殺到していました。「こんな顔なら死ぬわ」「整形してこれなんてやばい」「バケモノ」そんな言葉たちです。いつもなら挫(くじ)けてしまうと思うんですけど、突然ふと、思ったんです。こんな言葉をかけてくる人の中に、素敵な人なんて一人でもいるのだろうか?って。
私の尊敬する素敵な人たちに、こんなことを言いそうな人がいる?って考えてみたら、いないって気づいて。じゃあ、こんな奴らの言葉、気にする必要ないよねって思いました。そこからはまったく気にならないし、それが原因で死にたいなんて思わなくなりました。
小島:そういう人たちって、何も想像せずに攻撃するんですよね。
yuzuka:本当にそうです。無神経な人って、その言葉がどんな意味を持つかも考えていないし、何を言ったかすら、覚えていないです。
小島:私、そういうことに「怒る」のもすごく大切だと思います。憎しみは何も生まないっていうけど、怒りのパワーってすごいです。なにくそっていう復讐心を生きる気力に変えてほしい。私自身も誹謗中傷を受けたことがありますが、ちゃんと怒ってすっきりしました。
yuzuka:わかります。私、「表に出てるんだからそんなことスルーしなよ」って言葉が本当に嫌いで。なんでやられたままで我慢しなくちゃいけないの?って。だから最近は言い返してます。自分の中で溜め込んじゃうと、自分が悪いんじゃないかって思ってしまうから。ネットに限らず、ひどいことをされたら相手にしっかり怒りを感じることも大切なのかもれません。
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「死にたい」という気持ちをバカにする人がいる。
「生きたい人もいるのに」と、怒る人さえいる。
だけど私はどうしても、それを正しいとは思えないのだ。だってそこには「越えられない夜」が、確かに存在していて、「死にたい」という思いを抱えた誰かが存在するのだから。だから私はまず、誰かのその思いを肯定したい。
小島さんとの対談で改めて思ったのは、自分自身についても、友人についても、「自殺を止める」というのは、とても難しいということだ。
だけど、だからこそ、私も、そして彼女も思っているであろう共通の思いは、どうか、最後に目一杯足掻(あが)いてほしいということだ。しんどくても、突き詰めて考えて、生きる希望を探してほしいということだ。そしてもう一日、もう一日、と、少しずつ生き延びてほしい。
そうやって生き延びた私だからこそ思うのは、多分その先に、希望はある、ということだ。
周囲の人間にできることは、これから先、考え続けることだと思う。そこに何があれば良かったのか、どうすれば、その誰かを引き止められるのか。
これってもう、他人事じゃない。素敵な人に、これ以上死んでほしくない。こんな世の中、間違っていると、そう、強く思う。
これから先、私も、小島さんも、こういった活動を続けていくと思う。続けながら、考えて、考えて、考え続けるだろう。きっと、答えはないけれど、それで何かが変わると信じて。
私も伝え続けたい。たとえそれが薄っぺらい言葉に聞こえたとしても。
君なら越えられる。涙が止まらない、こんなどうしようもない夜も。
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<取材・文/yuzuka>
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小島美羽】
1992年、埼玉県生まれ。2014年より遺品整理クリーンサービス(株式会社ToDo-Company)に所属し、遺品整理やごみ屋敷の清掃、孤独死の特殊清掃に従事する。孤独死の現場を再現したミニチュアを2016年から独学で制作開始し、国内外のメディアやSNSで話題となる
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