
その他にも、社内恋愛の是非についてさまざまな声が上がった。
「以前働いていた会社には、社内恋愛がバレたら最低でも異動、最悪クビという暗黙のルールがありました。女性の多い職場でしたが、恋愛禁止のおかげで気兼ねなくコミュニケーションが取れて、とても働きやすかったです」(男性・26歳・アパレル)
「他の業界の人と休みが合わない仕事で拘束時間も長いから、社内くらいでしか出会いがない。会社が推奨してくれたら恋愛しやすくていいのにと思います」(女性・22歳・美容師)
では、企業側はどう考えているのか。ほとんどの企業は、社内恋愛について禁止も推奨もしていないが、なかには、社内恋愛を支援する福利厚生を取り入れる企業もある。
食品機械メーカーのサタケは、社内結婚した社員を対象に、自社製品の祝い品を贈呈し、保育施設が最大半額で利用できる制度がある。設立の経緯を広報に聞いた。
「他社の男性と結婚した女性社員の寿退社が相次ぎ、社長が『まるでトンビに油揚げをさらわれるようだ』とこぼしたことをきっかけに、’10年から社内結婚推奨の取り組みを始めました。
今まで計19組の夫婦に適用し、『休日が合うので予定を立てやすい』『職場の事情を共有でき、急な出張などにも理解が早い』と好評です。女性社員の定着にもつながり、他社で働いていた婚約者の男性が当社へ転職してくるという、“さらわれてた油揚げがトンビをつかまえてきた”ケースもありました」
年に1組程度が社内結婚するPR会社のサニーサイドアップでは、社内結婚や2人目以降の子供誕生で最大100万円を支給。制度の狙いを広報が解説する。
「PR会社に重要なのが、インプットとアウトプット。インプットにあたるプライベートを充実させることが仕事に生きてくると考えています。社内恋愛を推奨するというより、あくまでも選択肢としての受け皿を用意しているということです」
ほかにも自動車メーカーのトヨタ自動車では、グループ企業間の婚活イベントに参加できるネットシステムを設立。ウェブ事業のDYMは社内結婚だけでなく社内カップルにも祝い金を支給している。