
実は、日本は国際比較で職場恋愛が非常に多い国らしい。
「理由の一つに、労働時間が長く、社外で誰かと知り合って深い仲になるのが難しい点があった。
それが近年、労働時間管理の徹底やハラスメント防止ルールにより、職場の上下関係を背景にした恋愛は難しくなりつつある。禁止・推奨にかかわらず、これまで多かったかたちの社内恋愛が成立しにくい社会になってきたといえます」(西口氏)
社内での出会いに期待できるのも今のうちかもしれない。
・トヨタ自動車(自動車メーカー)
登録するとグループ企業間のイベントにエントリーできるウェブシステム「恋活プログラム奏(かなで)」で出会いをサポート。入会金や登録料は無料。登録者は男女約3600人。イベントは累計8000人以上が参加
・サタケ(食品機械メーカー)
結婚時に祝い品として自社の家庭用精米機を贈呈。夫妻ともに5年勤続すると自社製品の商品券3万円分を贈呈。子供の社内保育室の利用料が5%引き。2人同時に預ける場合は第2子の利用料が半額
・サニーサイドアップ(PR事業)
社内結婚すると祝い金32万円を支給。同性婚も対象となる。社内結婚後2人目以降の子供出産で、その都度100万円支給。恋愛勝負休暇や離婚休暇などもあり、恋愛・結婚以外にもユニークな制度が多数
・DYM(ウェブ事業)
四半期ごとの式典にて全社員の前で交際宣言を行うと、3万円のカップル手当を支給。社内結婚すると30万円の結婚手当を支給。社員同士の恋愛を応援することで、社内の結束力を高める狙い
上記以外に取材・掲載を断られた企業が3社、制度が廃止になった企業が1社あった。ちなみに、恋愛禁止を公にアピールしている企業は見当たらなかった

溝上憲文氏
【人事ジャーナリスト・溝上憲文氏】
経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心に執筆活動を展開。著書に『
人事部はここを見ている!』(プレジデント社)

西口 想氏
【文筆家・労働団体職員・西口 想氏】
テレビ番組制作会社勤務を経て、現在は労働団体職員。文筆家としても活動。著書に『
なぜオフィスでラブなのか』(堀之内出版)
<取材・文・撮影/桜井カズキ 伊藤 綾 高田彰吾 ツマミ具依>