子を持つ人生か、持たない人生か。2択で考えてしまう私たちの“呪い”
こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。
季節の変わり目、皆さん体調などお変わりないでしょうか。個人的な話ですが、私は2月に引っ越して生活環境が変わった関係なのか、ホルモンバランスを崩してしまい婦人科系の不調に悩んでいます。病院に駆け込んだものの、ホルモンバランスの問題は薬でパッと治るわけではないため、数年ぶりにダラダラと続く不調に自己肯定感がグラつく感覚がありました。
私はもともと、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と先天性の子宮奇形である重複子宮という病気を持っています。
そのせいなのか不規則な働き方のせいなのか、ホルモンバランスが崩れやすく、婦人科系の不調とは結構仲良しな関係がデフォルトです。そんなわけで、体調を崩しては治し、崩しては治しを繰り返す中で、以前は「女性としての機能すらきちんと果たせない自分なんて、女としてやっぱり欠陥品だ」くらいに、長く思い込むこともありました。
そんな被害者意識にも似た時期があったわけですが、色んな経験をしていく中で、今は「持病は良くも悪くもその人の特性の1つ」と思えるようになり、“女性の価値”なんて誤った結びつけをすることはなくなりました。
しかし、こうして久しぶりに自分の体の繊細な問題と直面する時間が設けられると、どこからともなく、「やっぱりお前は女として……」と、ふたたび呪いのような声が聞こえてくる気がして、背中がゾワリとします。
「これって、私が抱える呪いであり、女が抱える呪いだ」
なんて気づいては手放せるくらいには、もうきちんとした大人ではありますが、女性は(こうしてひとくくりにすると乱暴ですが)結婚や出産にまつわるあれこれに、まだまだ女性としての義務や価値といった考えを持ち出しがちです。
それはすべて、古い時代の価値観から来る“呪い”という名の思い込みですが、この思い込みに私たちは今も大きく影響されているように思うのです。
先日もある28歳の女性が、「30歳までに結婚しないとヤバいって漠然とした感覚があって焦る。冷静に考えれば、今は仕事も勉強も頑張っている時期だから、30歳がマストってわけじゃないはずなのに。それでも30歳までに何とかしなきゃって思ってしまう自分がいる」と、葛藤を聞かせてくれました。
「それは30手前の女性がかかる“病気”のようなものだよ」と説明したら本人も一応納得したようですが、分かっても治らないのが病気ってやつです。
そんな時、気になる映画があり鑑賞することとなりました。
『Eggs 選ばれたい私たち』(監督・川崎僚)。
日本ではまだ知られていない卵子ドナー制度と、それに登録する中で自分の女性としての葛藤を描いた話題作です。