では、具体的に我が家ではどんなことをしていたのか──あくまで一例としてですが、ご紹介していきます。
私が子どもたちとよく作っていたのは、ホットケーキです。「自分が大好きなこのホットケーキは、自分の手で作ることができるんだ」と最初に理解させ、それを一緒にやってみる。「食べるものって、作ることができるんだ。食べるものを作るって、楽しいことなんだ」と体験させるのは、料理をすることへの動機づけになると思います。
画像はイメージです
「子どもたちに卵を割らせてみたい! どんな反応をするんだろう?」という好奇心もありました。卵の殻が割れるときのドキドキや、中身が出てくるワクワクを子どもたちにも味わってほしい。
フライパンの上で、ホットケーキがムクムクと膨らんでくる様子を見守る時間もまた、子どもたちにとっては楽しいものです。
「どうやったら、もっとふわふわなホットケーキになるだろう?」と何度も試行錯誤しながら作った思い出は、大人に成長したいまでも、子どもたちのなかに強く残っているようです。
「凝った料理を作らないといけない」なんてことはないのです。食材に触れたり、手先を使ったり、美味しくなるアイデアを一緒に考えたり。そうやって作ったものを、最後に一緒に食べる。“子どもが成長する料理”の本質はそれらのなかにあります。
子育て全般において、私は子どもの自主性を最優先していました。「~しなさい」、「~してはダメ」と言ったこともありません。
料理についても同様に、禁止するようなことはありませんでした。もちろん、包丁や火を使う料理は必ず隣に立ち、つきっきりでフォローし、無理はさせません。「危ないな」と思ったことをやりたがったら、「じゃあ、これはお母さんが切るから、そっちの混ぜるのをお願いね」といったように、作業を分担し、安全な部分を任せるように促しました。
今年の母の日に、次男が作ってくれたローストポーク
それ以外は、子どもがやりたいようにやらせます。ハート型のホットケーキになってもかまわないし、ドーナツ型にする子どもだっているかもしれません。「『こんがり焼く』の“こんがり”がどの程度か」なんて、私だってわかりません。多少は焦げてしまっても良いじゃないですか。その子がそのとき思った“こんがり”を尊重してください。ホットケーキにチョコのペンで自由にお絵かきをしたり、自分が好きなフルーツをトッピングしたりするのも楽しい経験となるでしょう。
そうしてできあがったものを「できたね~! すごいね~!」と一緒に喜び、「じゃあ食べてみよう!」と一緒に食べましょう。
子どもが料理に興味を持つようだったら、日常のなかでも「このレタス洗える?」、「これをどんなふうにでも良いから、みんなのお皿に盛りつけられるかな?」といった具合にやらせてみるのも良いでしょう。