――確かに、ライトハウスの資料を読むと、AV出演を強要されても、AV販売会社に作品販売を中止させるぐらいしかできないようですね。AVを強制した加害者たちは逮捕されないケースは多いのですか?

写真はイメージです。
平岡さん「はい。日本の警察の検挙率は80%以上と言われますが、それは被害者が立証できない事件は起訴しないからでしょう。
AV出演強要の被害者の多くは、契約書を盾に断れない状況に追い込まれて撮影に至っています。契約時には、バレない・一部のマニアしか見ない・顔はわからないなど虚偽説明をされ、本来きちんと事前に伝えるべき撮影時の行為の詳細説明をせず、契約書にサインさせられています。
辞めたいと申し出ても言葉巧みに誘導されたり、家族に連絡すると言われたり、中には家まで迎えに来られたという人もいます。
不安や恐怖など心理的な困難を乗り越えて、相談し支援を求められる被害者はごくわずかで、警察にたどり着ける人は氷山の一角です。また、社会の中にある無理解や自己責任論が被害者を孤立させて、一層相談しにくい状況を作り出してしまっているように思います。」
池田さん「ただ、最近は相談の種類が変わってきました」

「ライトハウス」の中村さん(左)、池田さん(右)
――というと?
池田さん「かつてはAV出演強要やJKビジネスによる性的搾取の相談が多かったのですが、最近は、割合としては少なくなってきました。警察庁でも啓発活動をするなど、AV出演強要問題への世間の注目度が以前に比べて少しあがったせいかもしれません。でも、決して被害がなくなったということではなく、ライトハウスの相談割合としては減ったということです」
中村さん「『AV出演強要・JKビジネス等被害防止月間』による政府主導の取り組みも行われていますし、警察や消費者センター、弁護士事務所、民間団体等の相談窓口が、以前よりAV出演強要被害に対する理解が深まって、対応してもらえるようになったことが影響しているのではないかと思います。その背景には、社会問題として取り上げられたことで、認識や意識が変わったということが大きくあると思います」