そうしてY男さんは、磯辺揚(いそべあ)げの磯をとってイソちゃんと名付け、正式に飼うようなりました。
「ちくわの分もイソちゃんを大事にしたいと思ったY男さんは、すぐペットショップに行って猫用のベッドを買ってきたそうです」
そのベッドをイソちゃんは大変気に入り、Y男さんの愛情をいっぱい受けてすくすくと育っていきました。
「そしたらある時、Y男さんが病院に行く前日に、いつもの引き出しを開けて保険証を取り出そうとしたら、どこにも見当たらなく、部屋中探しても見つけられなくて困ったことがあったそうなんです」
するとイソちゃんがおもむろにやってきて、Y男さんのバッグの内側を前足でチョンチョンとつつくと、ジッと見つめてきました。
「不思議に思ったY男さんがバックの内ポケットを見てみると、なんと探していた保険証が入っていたんですって。前回病院に行った時に、何気なくそこに入れてそのままにしていたみたいで」
そのような感じでイソちゃんは、物忘れのふえてきたY男さんの探し物をよく見つけてくれるそうで…。
「ちょっとホントかな?って感じですよね。でももしかしたら、ちくわとイソちゃんの感謝のパワーが生み出した能力なのかもしれないなと思いました」
その他にもマイナンバーカードのパスワードをメモした紙や、部屋の鍵、娘さんにもらったビール券などを見つけてもらったんだとY男さんは嬉しそうに話してきます。
「何だか私も試してみたくなって、帰り際に自分のベッドでくつろぐイソちゃんに『私の大事な天狗のキーホルダーもよかったら見つけてください!』と手を合わせて力一杯お願いしてみたんですよ」