――本作のキャスティングが発表された当初、性別の違いが話題になったことがありました。これまでにのんさんが「女性であること」の縛りを感じた瞬間はありますか?
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『さかなのこ』より
のん「役に関してですね。作品を観たり、小説を読んでいて、
『この役、私がやりたい! 絶対にできる!』と思えることがあるんですけど、そう感じる役って大抵はそのポジションに男の人が入っていることが多いんです。そういうときに性別の縛りを感じることはあります」
――たとえばどんな役をやりたいと思ったことが?
のん「『アイアンマン』とか! ああいう嫌味でヤなヤツなんだけど、子どもっぽくて甘えん坊で、でも心の奥底ではすごく傷ついているといった役が好きなんです。イヤなところがあるのが好きなんですよね。口が悪いところ。特にそういうヒーロー。でもそういうのって、だいたい男の人なんです。女性だとないとは言わないけど、でもあまり定番じゃないんです。『ワンダーウーマン』とかも好きですけどね。誰よりも強くて」
――ヒーロー系もお好きなんですね。
のん「スーパーヒーローは大好きです!」
男か女かはどっちでもいい。ミー坊という唯一のジャンル
『さかなのこ』より
――では、本編にも登場した「大人なのに」という言葉には、のんさん自身は何を感じますか?
のん「私は『
ミー坊みたいに生きたい。子ども心を持って年齢を重ねていきたい』と常に思っています。映画のあの場面のようなことを言う人は、現実でもいると思います。私の場合は、同じことを言われたらはね返しちゃうタイプです。パワーで(笑)。でもそういうのって相手にとったら寝耳に水。持ってる概念が違うだけなんだと気付きました。ちなみに映画本編で『大人なのに』と笑う、島崎(遥香)さんの演技は素晴らしかったです。全然悪気なく言う。ミー坊(のような人)が周りにいなかった人の反応だと思います」
――ありがとうございました。改めて、ミー坊がのんさんで良かったです。
のんさん「ありがとうございます。ミー坊を演じることに、自分自身は違和感がなかったんです。でもオファーにはビックリしたし、観る人が受け入れてくれるのかというのは、すごくドキドキしていました。本読みの時に、ホワイトボードに、それこそ『
男か女かは、どっちでもいい』と沖田(修一)監督直筆で貼り紙がされていて、それを読んだときにすごく勇気が湧きました。お魚好きのミー坊という人を演じればいいんだと。自信を持って演じました。男とか女とかじゃなくて、ミー坊という唯一のジャンルだと思います」
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(C) 2022「さかなのこ」製作委員会
<撮影・文/望月ふみ>
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。
@mochi_fumi