「お返事ください、話したいです……ってね。もちろん、相手は有名人で既婚者。私だって自分の立場くらいわかっていましたよ。だから、なるべくヒステリックにならないように気をつけました。
返事がこないなんて、それまでのオープンで明るい彼からは思いもしなかった。え、うそでしょうそでしょ、なんで何も言ってくれないのって……心細くて仕方なくて」

そんなザワザワした気持ちのときにも、仕事でKさんのマネージャーさんと連絡をとらなくてはならなかった。
「話しながら胸のあたりがもんもんとしていていました。もうその頃は、マネージャーさん、うすうす私たちのことわかってたと思うんですよね。でも何も言わないし、こっちからは何も言えない。私の上司にも会社にもバレていませんでしたから、もちろん相談もできない……Kさんは有名人なので友達にも相談できない……苦しいまま1週間がたち、収録の日を迎えたんです」
1日で2本分の番組収録。夜の9時頃に終わり、いつものように彼の楽屋のドアをノックした。コンコン……扉を開くと、マネージャーはいない。Kさんは、こちらに背を向けるようにして、扉からは遠い、楽屋の端にあるメイクコーナーの白い椅子に座り、黙ったままだった。
「
前の彼なら、コンコンってした時点で“あいよ”って明るく返事して、ドアを開けるとこっちを見てニコッて笑って“お疲れさん”って言ってくれたのに。その日の冷たさったらなかったです。その姿を目の当たりにして、私も何も言えなくて、扉のとこに凍り付いたまま立っていました。」
「何秒かたった頃でしょうか。彼から“扉閉めて”って言われて、閉めて、するとやっと彼がこっちを向いて、私のほうに歩いてきて言ったんです。
ごめんな、って……。コレでなんとかしてくれって……気づくと、少し厚みのある茶色い紙袋を渡されてました。
え、これはなんなのなんなのって、頭の中がグルグルして。少しして気が付きました。よくドラマであるような、手切れ金とか渡されてるの?って。頭の中が整理できなくて、言葉が出なくて、その場で凍り付いていました」
するとその時、扉が開いて“Kさん”と呼ぶ明るい声がした。マネージャーだった。
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