天気予報も的中し、当日は文句なしの秋晴れになり二人は我を忘れて栗拾いに没頭したそうです。

「結構腰が痛くなるもんですね! だって、ずっとしゃがみ腰になりながら地面の栗を拾いますもんね…でも、汗ばむような陽気で彼も楽しんでくれたようで行ってよかったです」
その年は豊作で、二人にはかなりの収穫があったようです。都会で育った沙羅さんは、栗を覆っているいがを実際に見たことがなく、珍しさのあまり結構な数を持ち帰ったそうです。
二人は農園の近くにあるオーガニックレストランで昼食を済ませ、農園を後にしました。
帰りの都内へ向かう国道は大渋滞だったそうです。
「たぶん、天気もよかったからもしれないのですが、この辺は農園が多くってそれはそれは多くの行楽客で道路はごった返していたんです」
経験したことのない大渋滞の中、彼がなんだかソワソワし始めます。それは、その日行われる競馬がまもなくスタートするからです。
彼はノロノロ運転の中、停止するたびにスマホに目をやるようになっていきました。そうとは知らない沙羅さんは、楽しかった思い出に浸るように彼に話しかけますが、彼はすでに上の空。