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今市隆二の“色っぽさ”が限界突破。イケメンとLDHを愛する記者が語り尽くす

R&B的な音色が織り込まれたトラック

『GOOD OLD FUTURE』のファーストトラック「Don’t Give Up」を聴くと、ピアノソロが印象的なイントロから、ものすごくR&B的なビートを刻む電子的なバスドラムのキック音が伝わる。それもそのはず。この曲をプロデュースしたのが、アニタ・ベイカーやビヨンセへの楽曲提供で知られるゴードン・チェンバースと、LDHではおなじみのT.kura&michikoコンビなのだから。  そんな最強のプロデュース陣が紡ぐR&Bの音色が特徴づけれたバックトラックに対して、今市の歌唱は、絶妙な対話を繰り広げている。ここにソロアーティストとしてのひとつの洗練の極みを見た。  続く2ndトラック「ROMEO + JULIET」は、トラックタイトル自体、もろレオナルド・ディカプリオ主演、バズ・ラーマン版のロミジュリ映画『ロミオ+ジュリエット』(1996年)にインスパイアされている。こういうさりげない目配せ、自分の好きな映画から曲のテーマと歌詞を着想するあたり、ああ、隆二さんらしいなと思う。アルバムに並んだ各トラックのタイトルを眺めているだけでもすでにワクワクする。  リード曲「CASTLE OF SAND」は、R&Bマナー炸裂で、渾身のスローナンバー。今市が愛するR&Bとしっかり腰を据えて向き合い、どのトラックにも細かく音色を織り込んでいるこのアルバムが、リスナーの身体を熱く火照らせるには十分なリード曲だ。

色男の系譜

imaichiryuji_hiki R&Bには、色男の系譜というものがある。楽曲の特徴としても、歌い手の外見的な色っぽい雰囲気が重要なエレメントになるのだ。80代にしてまだまだ現役の「アリズレー・ブラザーズ」のリード・ヴォーカル、ロナルド・アイズレーなんてまさにその代表例だが、その系譜に連ねていいくらい、隆二さんの色気といったら、これはもうね、折り紙付きの超一級品。  そこにいるだけで、色気があって美しいたたずまいは、それだけですでに才能である。今市の全身から発散される色気をひとたび吸い込むと、こちらは桃色のため息を吐き出してしまいそうになる。そんな調子でライブステージに立たれたら、あまりの色っぽさに困ってしまうではないかと、筆者は思った。  というわけで、ここまで今市隆二というR&Bシンガーを深く理解するために、R&Bマナーについて丁寧に筆を運んできた。それは、愛すべきR&Bへのストレートなリスペクト表明、ファンへの感謝を伝えるホールツアー『~Rock With You~』で浮かび上がる色っぽい音像を実際に体感する補助線になることと思う。
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「R&B」と「Rock」の邂逅
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